ニュース・フラッシュ
2015年9月30日
バンクーバー
山路法宏
カナダ:総選挙における各野党の鉱業政策
2015年10月19日に投票が予定されているカナダ総選挙に関して、地元報道機関が主要4政党に対して行った国内の鉱業に関する質問と、回答が得られなかった与党保守党を除く3野党(新民主党、自由党、グリーン党)からの回答を紹介した。
州政府との手続きの重複を避ける環境許認可の合理化に向けた近年の連邦政府による取り組みについて、自由党はカナダの環境評価の信頼性が損なわれたとして、環境評価プロセスのパブリックレビューを実施し、それに基づく新しい包括的かつ公平なプロセスへの転換を図る意向を示し、新民主党やグリーン党も、プロセスの合理化については一定の理解を示した上で、連邦政府の責任回避につながる役割の大幅な制限は受け入れられず、カナダ鉱業の評判を傷つけるものだと指摘した。
一方、2014年6月の連邦最高裁によるTsilhqot'in判決を境に、先住民に対する「協議義務」が「合意の要求」に変わったことに対しては、連邦政府が先住民との協議や合意義務に対してより責任を持ち、先住民との新たな関係を構築する必要があるという点で一致し、自由党は法規制や政策、対策等の見直しにまで言及した。
また、北極圏等国内の遠隔地における鉱業に関連するインフラ整備や地質的研究、職業訓練等の支援については、自由党が連邦政府によるインフラ投資を今後10年間で現在の650億C$から約1,250 C$へほぼ倍増させる等の具体策を提示したのに対して、グリーン党は一切の鉱物探査を禁止する「北極圏保護地帯(Arctic Protected Zone)」の設置を目指す考えを明らかにしている。なお、フロースルー株式制度の延長については、各党とも概ね支持する姿勢を示している。
