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メキシコ:メキシコ鉱業の現状と展望
2015年12月21日付け業界紙等によると、本年のメキシコ鉱業は、金属市況の下落・低迷にもかかわらず、堅調な成長を示している。
金生産に関して本年9月の生産量が前年同月の8,286 ㎏から大幅に増加し10,747 ㎏となったほか、銀生産に関しては2013年12月以降月間生産量が最高となる425,840 ㎏を記録した。また、銅生産に関しても本年9月の生産量は前年同月から4.5 %増加し39,477 tであった。これにより、本年Q1~3における鉱業部門のGDPは昨年同期の4,000億ペソから4,050億ペソへと増加したほか、Q3における鉱業部門のGDPとしては過去22年間で最も高額となる1,400億ペソを記録する等鉱業部門がメキシコGDPの成長に貢献していると考えられる。
一方、輸出に関しては、金属市況の下落・低迷により、生産量が増加しているにもかかわらず、本年1~10月の金輸出額は前年同期から6.88 %減の36.8億US$で、銀輸出額は前年同期から20.4 %減の15.9億US$であった。これは、金市況及び銀市況がこの間にそれぞれ8.18 %、18.7 %下落したことが主要因であるが、米ドルに対するメキシコペソの通貨下落も影響している。また、鉱業各社における利益に関しても、生産量の増加や生産コストの削減にもかかわらず、軒並み大きな下落が見られる。
こうした中、2016年におけるメキシコ鉱業の展望としては、金属市況の大幅な上昇が見られなければ、鉱業各社における利益改善は然程望めないと推察される。また、輸出に関しては、米ドルに対する為替の状況が行方を左右する。なお、メキシコGDPに対する鉱業部門の貢献については、加Goldcorp社、Peñoles社及びGrupo México社の動向が鍵を握る。