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ニュース・フラッシュ

鉱種:
鉄鉱石
2016年4月4日 メキシコ 縄田俊之

メキシコ:エネルギー転換法の導入がメキシコ鉄鋼業界を蝕む

2016年3月28日付け業界紙等によると、メキシコ鉄鋼業界は、直近5年間で環境技術の導入のために50億US$以上の投資を行ったにもかかわらず、2015年12月24日にEnrique Peña Nieto大統領が公布したエネルギー転換法の導入により、工場閉鎖に繋がる危機に見舞われている。

全国鉄鋼産業会議所(CANACERO)によると、同法により、鉄鋼業界等大口電力需要者は消費電力の5%以上の電力を再生可能エネルギーにより調達することが義務づけられる。これに対しCANACEROは、再生可能エネルギーを導入するよりも、安価な天然ガスを利用しコンバインドサイクルによる効率的な発電を実施することによって、温室効果ガスの排出量を現状よりも減らすことができるとするほか、メキシコ鉄鋼業界は環境問題に対し既に国際基準を十分にクリアしている旨を主張した。

1990~2010年におけるメキシコ国内の温室効果ガス排出量について、鉄鋼業界を含む工業部門の排出量は全体の8.2%に過ぎないにもかかわらず、一方でメキシコ国内において最大のエネルギー消費を要する鉄鋼業界に対し、再生可能エネルギーによる電力調達の義務付けが、より一層の電気料金支払いの負担となり、国際競争力の低下に繋がる。

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