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英国:Tata Steel、英国の鉄鋼生産拠点を売却へ、英国内で国有化の議論も
印Tata Steel Groupは、英国子会社のTata Steel UKについて、全部又は部分的な売却を含むポートフォリオ再構築のためのあらゆるオプションを探るようにTata Steel Europeに対して指示を出したことを2016年3月30日付で発表した。
Tata Steel Group は、Tata Steel UKの過去12ヶ月間の財務状況の悪化を挙げ、過去数年に渡ってマネジメント層及び従業員によって対策が講じられ、またTata Steel Groupとして相当の財政支援を行ってきたものの改善が見られないとして、Tata Steel UKの減損損失は28億US$以上に上るとしている。現在の鉄鋼業界を巡る状況として、世界金融危機以降続く欧州内の需要減退と輸出事業の減速、世界的な供給過剰、第三国からの安価な鉄鋼製品の欧州への輸出の急増、英国内での高い生産コストを挙げ、これらの厳しい状況は将来的にも継続する可能性が高く、英国での生産拠点は競争性が確保できないとして、今回の事業見直しに至ったと述べている。
Tata Steel UKの従業員は直接雇用だけでも15,000名に上るとされ、また鉄鋼産業が英国から失われる危機感から、英国政府及びウェールズ政府は、英国製造業の中心となる鉄鋼産業を維持するために、Tata Steel Group及び労働組合に協力していくことを約束し、あらゆる実行可能なオプションを検討するとしている。その中で、報道によれば、労働党党首のJeremy Corbyne氏がTata Steel UKの国有化を政府は検討すべきとのコメントを出しており、これに対しDavid Cameron首相は、国有化が正しい解決策になるとは思わないとインタビューで答えている。また首相スポークスマンは、世界的な供給過剰については習近平中国主席との間で懸念を示しているとして、2016年9月に開催されるG20はこうした問題を取り上げる良い機会となるだろうとコメントしている。
Tata Steel UKは2007年に英独製鉄メーカーCorus社を買収して以降、英国において操業を行っており、南ウェールズ地方にPort Talbot製鉄所、北西イングランドにScunthorpe製鉄所を有し、この他、北イングランドにスクラップ原料を主体とするRotherhamプラント及びSouth Yorkshireプラント等、合計13もの生産拠点を有している。