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ニュース・フラッシュ

2016年5月16日 メキシコ 縄田俊之

メキシコ:エネルギー改革が鉱業コンセッションの足枷に

2016年5月12日付け業界紙等によると、メキシコ鉱業関係当局の実質トップであるMario Cantú経済省鉱業調整官は、2013年12月にメキシコ議会で可決、承認されたエネルギー改革に基づき、2014年8月に同議会で可決、承認されたエネルギー改革関連2次法が、メキシコ国内における金属を中心とした鉱業活動のブレーキとなっており、鉱業コンセッションの新規申請案件に係る付与の41%に関し遅れが生じている旨を明らかにした。

同調整官によると、エネルギー改革関連2次法による新たな規制のため、鉱業コンセッションの付与に要する期間が従前の120日から現在では170日を要する結果となった。このため、実施すべき新たな鉱業コンセッションが不足し始めているとともに、鉱区に係る土地の競売件数も減少している。

また、鉱業行政担当である経済省鉱山総局においては、鉱業企業に対し鉱業コンセッションを付与する前に、当該鉱業コンセッションに係る土地に石油・天然ガス又は発電プロジェクトが存在するか否かの情報を事前にエネルギー省へ通知する義務が生じている。仮に、当該鉱業コンセッションに係る土地に石油・天然ガス又は発電プロジェクトが存在した場合、両者が共存できるか否かを調査しなければならず、もし共存できないと判断された場合にはエネルギー関連のプロジェクトを優先しなければならない。

こうした状況を踏まえ、鉱業コンセッションの付与に係る多くの担当官と審査技術を必要する構造的な問題に対処し、また、鉱業コンセッションとエネルギー関連のプロジェクトにおける優先順位を確認するため、今後エネルギー省と協議を行う。

一方、鉱業資産の売買を手掛けるCandiani Mining社は、一連のエネルギー改革に伴うエネルギー関連2次法に基づく新たな規制は、行政手続きの遅延を招き、第三者に対する鉱業権の譲渡の可能性を阻害することに繋がる旨を警告した。

また、鉱業訴訟案件を専門に手掛けるコンサルタントによると、メキシコ政府はエネルギー分野への投資の呼び込みと引き替えに、石油・天然ガスを除く鉱業の力強さを削ぎ、深刻さを付加した。特にエネルギー関連2次法に基づく新たな規制により、新たな鉱業コンセッションは、エネルギー省の承認が取れるまで付与されず、かつ、付与されるまでに長期間を要することとなった。

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