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ニュース・フラッシュ

2016年6月7日 シドニー 山下宜範

豪:野党の一部議員が鉱山企業に対する税還付制度に反対。議会選挙は7月2日予定

豪州の連邦議会は2016年5月9日に上院及び下院の両院が解散し、7月2日に総選挙が行われる予定であるが、同年6月2日付け地元紙は、野党・労働党の一部の議員が、鉱山企業に対する軽油燃料税の還付制度を廃止するよう求めており、もし政権交代により、これが実現すれば大手の鉱山企業の利益が大きく減ることになると報じている。

地元紙によれば、6月1日、労働党の有力議員であるLisa Singh議員等の10名以上の同党議員及び候補者が石炭採掘に反対する立場を表明すると共に、うち7名が鉱山企業に対する軽油燃料税の還付制度の廃止を誓う環境保護団体の文書に署名した。

これに対し、同日、労働党のBill Shorten党首は、労働党は同還付制度の廃止は検討していないこと、また、労働党政権になっても石炭産業は継続するなどと述べ、この党内不一致を誇張することのないよう求めて火消しを図った。

しかし鉱山業界では労働党が政権を獲得した場合は同制度を廃止することになるのではないかとの懸念が増している。Citiのアナリストは、この制度が廃止されればBHP Billiton及びRio Tintoの利益は各々11%及び12%減少すると試算している。

軽油燃料税の還付制度は年間30億A$の規模であり、鉱業、農業、林業及び漁業の養殖を行う企業に対し、課税対象となる公道での使用以外の方法で軽油を使用した場合に1リットル当たり39.5A¢の還付を行う制度である。しかし、この制度は緑の党(Greens)や労働党の一部から、鉱山業界への補助金制度だとして批判を受けていた。

なお、6月3日の地元紙によれば、最新の民間の世論調査では、二党間の支持率では野党・労働党の支持率が51%、与党・保守連合が49%となっており、2015年9月のMalcolm Turnbull首相の就任以降、初めて労働党が保守連合を上回った。なお、どの党に投票するかという調査については保守連合が42%、労働党が36%、緑の党が13%等となっている。また、選挙で保守連合が勝利すると考える有権者が55%であり、労働党が勝利すると考える有権者は22%にとどまっている。

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