ニュース・フラッシュ
2016年7月26日
シドニー
山下宜範
豪:BHP Billiton、SA州の風力発電等の増加による電力危機を懸念
2016年7月20日付けの地元紙によれば、SA州では風力発電等の再生可能エネルギーによる発電の増加により、電力価格の上昇や供給の急減等の事態が発生しており、同州にOlympic Dam鉱山を持つBHP Billitonが懸念を示したと報じている。
SA州では電力の40%以上を風力、太陽光等の再生可能エネルギーに依存しており、豪州で最も電力価格が高くなっている。2016年6月のSA州における平均の電力価格は133A$/MWhであったが、7月7日は無風状態の天候により風力発電からの電力供給が減少したこと、また、気候が寒冷であったことを受けて、電力価格は最大で14,000A$/MWhにまで跳ね上がった。その後、19日には電力価格は253A$/MWhになったが、これはNSW州やVIC州の5倍の水準である。
今回の事態を受けてBHP Billitonの法人担当は、電力の安全性と信頼性はOlympic Dam鉱山の持続性に重大な懸念を与えると述べた。地元紙によれば、同鉱山が一時的な操業停止に追い込まれれば銅、ウラン、金の販売に関して1日あたり5,500万A$の損失が生じるとと共に、設備の維持管理や再稼働にも費用を要することになる。
SA州では2016年5月に最後に残っていた石炭火力発電所を廃止していた。同州は今回の事態に対処するため運転停止中であったガス火力発電所を再稼働させるなどの対策を講じている。また、連邦政府のJosh Frydenberg環境・エネルギー大臣は、今回の事態を受けて、可能な限り早く豪州連邦・州首相評議会を開催すると述べている。
