メキシコ:加Goldcorp社、Peñasquito多金属鉱山の現状と今後の見通し
2016年12月7日付け業界紙は、加Goldcorp社のPeñasquito多金属鉱山(Zacatecas州)の現状と今後の見通しを報じている。概要は以下のとおり。
メキシコ最大の金鉱山であり、フル操業時には最も経済的な鉱山の1つであり、同時に銀、鉛及び亜鉛を産出する。Peñasco鉱床とChile Colorado鉱床の2つの露天掘り鉱床を有し、今後、粗鉱処理能力は130千t/日に増加する。なお、酸化及び硫化鉱物は浮遊選鉱を通し処理される。
同鉱山の全維持コスト(AISC)は、2014年813US$/oz(金生産量17.7t)から544US$/oz(同26.8t)に、品位は0.65g/tから1.00g/tに向上している。
2016年~2018年は低品位粗鉱ゾーンの採掘が予定されているが、これは、2019年から開始される鉱床深部の高品位鉱物採掘へのアクセスに関係するものであり、しばらくは生産コスト上昇を引き起こすこととなる。また、本年第3四半期までの産金量累計8.7tから推測すると2016年当初計画・金産出量16.1~18.0tの達成は不可能である。
水資源不足問題は、同鉱山の操業に大きな影響を与えてきたが、本年第4四半期までに鉱山用水量を上昇させるため鉱山北部の井戸掘削を行うことで同問題は解消される見込みである。
政治・社会問題では、本年10月に1週間以上、輸送業者による鉱山アクセス道の違法封鎖活動が発生した。また、2015年には、鉱山近隣住民による鉱山北部の井戸掘削工事の妨害が発生している。Zacatecas州政府は、違法封鎖を行った者からの提案の一部を拒否したものの、鉱山区域の一部を自然保護区としたことにより、周辺住民の不安は和らいでいる。また、同社は、可能な限り地元住民を雇用する方針を打ち出しており、同時に、教育、健康及び地域商業プロジェクトへの投資を発表している。
同社は、Peñasquito鉱山から50㎞離れたCamino Rojo鉱体の開発の重要性を強調しており、本年第4四半期にはプレFS調査が終了する予定である。同鉱山の生産性は、短期間に近代的かつ効率的になるであろう。2019年は、鉱床深部の高品位粗鉱ゾーンに到達し回収率が増加する年となる。