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ニュース・フラッシュ

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2017年2月17日 リマ 迫田昌敏

ペルー:2017年1月の国内争議、警戒案件が急増

 2017年2月17日、憲法に基づき設立された独立・自立的監査機関であるオンブズマン(Defensoria del Pueblo)事務所は、2017年1月の国内社会争議状況を公表し、争議拡大防止のために政府の介入が急務とされる“警戒案件”が、前月の19件から27件に急増したことを報告した。27件の警戒案件の内19件は社会環境関連で、Las Bambas銅鉱山(Apurimac州)に係る案件もこれに入っている(残り8件は州政府絡みの土地境界関連争議)。警戒案件の州別では、Apurimac州4件、Ancash州3件、Cajamarca州・Loreto州・Puno州・Ucayali州各2件などとなっている。国内社会争議総件数は前月比2件増の214件であり、係争中の案件は前月比同数の156件(残り58件が潜在状態)。新たに8件の争議が発生した(2016年1月以降最高)。
 新たに発生した争議には、Nyrstar社と地元コミュニティとの契約のこじれ(Ancash州)、鉱石輸送会社Catalina Huanca社の環境汚染に対する抗議(Ayacucho州)、Doe Run Perú社に地域社会への社会的環境的配慮を求める抗議(Huancavelica州)、Quiruvilca社に対する役務時間補償をめぐる従業員の抗議(La Libertad州)など、鉱業関係企業の名前も多い。最大の争議原因は社会環境で、全体の67%の144件(係争中117件)にのぼり、うち95件(係争中76件)が鉱業部門に関連したものであった。
 また、地域別では、Apurímac州(26件)、Áncash州(25件)、Cusco州(18件)、Puno州(18件)などの高地地域が約4割を占めている。セクター別では、鉱業部門65%、炭化水素部門15%、エネルギー部門9%などとなっている。少なくとも83件の争議が対話過程にあり、そのうち66件にはオンブズマン事務所が間に入っている。2016年12月に年内最少の77件を記録したデモ等の集団抗議活動は、2017年1月にはさらに減少し44件となった。2017年1月中の集団抗議活動において、死者1名、負傷者20名が報告されている。この死者1名は上記Quiruvilca社に対する抗議活動時の市民側に属する。

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