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ニュース・フラッシュ

2017年2月21日 シドニー

豪:連邦政府、連邦裁判所の新たな判決による混乱を避けるため先住権法を改正

2017年2月15日、連邦政府は先住民との土地利用の合意を保護するため先住権法(Native Title Act)の改正法案を連邦議会下院に提出した。同法案は16日に可決され上院に提出された。本件の経緯は以下のとおりである。
同年2月2日、連邦裁判所は、先住民との土地利用に係る合意のためには先住民側の全ての請求者の署名が必要であるとの判断を下した。本件はWA州政府が進めていた先住民との土地利用に係る合意に関し、これに反対する先住民4名が連邦裁判所に訴えたことによるものである。今回の判断によれば一族の中から指名された請求者の全ての署名がなければ合意が無効であるとされた。しかしながら、これまで長年に亘って過半数の署名があれば認められるとされてきた。
今回の連邦裁判所の判断を受けて2月10日に国家先住権委員会(National Native Title Tribunal)が上記判断に影響する全ての登録及び通知段階の先住民土地利用契約(Indigenous Land Use Agreement:ILUA)の登録を一時停止すると発表していた。また、今回の判断により既に締結された先住民土地利用契約(Indigenous Land Use Agreement:ILUA)のうち約150件が無効になることから、資源業界や国家先住権委員会(NNTC)が連邦政府に対して先住権法の改正を求めていた。
これを受けて連邦政府は、先住民の中から指定された全ての請求者の署名が無くても先住民土地利用契約が実施されることを確保するため、今回の改正法案を提出した。

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