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ニュース・フラッシュ

鉱種:
鉄鉱石
2017年2月26日 メキシコ 森元英樹

メキシコ:加Primero Mining社保有のSan Dimas鉱山、多くの問題に直面

2017年2月21日付け業界紙は、加Primero Mining社が労組のストライキ行使による操業停止を含めた問題に直面していると報じている。同社がDurango州に保有するSan Dimas鉱山は、鉱山労働者の給与問題を含め、税務、安全基準等の課題を抱えており、メキシコにおける最も低コストの金鉱山から最も高コストの鉱山となった。
ストライキn同鉱山の労働組合関係者である約1,000人のメキシコ全国鉱夫・冶金・鉄鋼労組員(SNJHTMMSSRM)は、本年の労働協調契約に係る労使交渉決裂に伴いストライキ権を行使し、同鉱山の操業は一時停止を余儀なくされた。Primero Mining社は、同鉱山の収益性を取り戻す目的で鉱山のパフォーマンス強化を進めている。
労働者の欠勤等による高コスト構造化nストライキ前同鉱山では、高品位鉱床へのアクセス作業に反発した労働者の欠勤問題が発生し鉱山操業計画を中断していた。これによる生産減がコスト高の問題をもたらした。2016年同鉱山生産量は、2015年金4.7t、銀258tから金2.9t、銀165tへと大幅に減少している。同様に、2016年金換算直接コストは、2015年の570US$/ozから856US$/ozに高騰している。2015年の安全操業不振に対応するために行った岩盤強化策は、2016年の生産とコストに大きな影響を与えた。
税務nメキシコ国税庁(SAT)は、2012年、Primero Mining社と同鉱山に係る鉱業税の納税に関する事前合意(APA)を締結していたが、SATは合意時の銀価格4US$/ozと現在の市況18US$/ozと大きな乖離があるため、現在の銀市況に応じた課税を行うべきであるとして、同社に対しAPAを取り消す申し入れを行った。このため、同社は、合意中止を求めるSATの申し出に関する調停等の作業を進めている。
財務的影響n同鉱山の高コスト化が与える純損失に加え、2016年第3四半期に実施した10百万US$の労働者への賞与支払いは、同社の流動資産に大きな打撃となっている。さらに、2016年5月に満了した回転信用枠(50百万US$)返済が同社の株式に影響を与えており、上場廃止問題(1株、1US$(最小値)以下で取引されている)が続いている。

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