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鉱種:
2017年4月10日 サンティアゴ 村上尚義

チリ:新労働法が2017年4月1日より施行

2017年4月1日、チリでは新しい労働法が施行され、今後の各鉱山会社の労使交渉は新労働法に従って行われることになる。メディア報道によると、新労働法下の労使交渉について混乱が予想されており、その問題点について次に列記する。
・ 新労働法では、労働組合が団体交渉の一連のプロセスを進める主体となる(Titualidad Sindical)。従って、労働組合しか労使交渉を行うことができなくなり、組合に加盟していない労働者は労働協約を結ぶことができないと解釈される。これまでのように、労働者が直接交渉できなくなることから、労働者は組合に加盟せざるを得なくなる。また、労働者が交渉のために組織したグループと交渉を行った場合、労働組合は反労働組合的慣行であると訴えを起こす可能性もある。
さらに、憲法裁判所がTitualidad Sindicalは労働者個人の権利を損なうため違憲であるとの判決を下した場合、団体交渉のルールは法的に空白となってしまう可能性があるが、労働局の権限では、この問題を解決することができない。
・ 新労働法では、ストライキによる鉱山管理上の混乱、周辺環境への損害が生じることを防ぐため、鉱山会社と労働組合はストライキ時に最低限の鉱山および関連設備の保守条項を定め、労働契約終了日の180日前までに労働局に提出しなければならない。労使間で合意に達しない場合は、労働局が調停を行うが、それでも合意に至らない場合はストライキが出来ないことになる。
・ 新労働法では、鉱山会社は代替の労働者の雇用や、ストライキを行っていない労働者にストライキ中の労働者の職務を行わせることができない。一方で、ストライキを行っている労働者は、個人の判断で職場復帰することができない。
・旧労働法では、新しく加盟した組合員への給付金は、鉱山会社の栽量によって支給が可能だったが、新労働法では、新しく加盟した組合員への給付金は、鉱山会社と労働組合の合意によってのみ支給が可能となる。
・ 鉱山の労働契約期間について、これまでほとんどの場合は4年間であったが、新労働法では3年間をこえる有効期間を定めることができなくなる。
新労働法下での労働契約更新に備え、いくつかの民間鉱山会社は、労働組合との交渉手続を早めに進めることを決定している。また、CODELCOは、新労働法の下で労使交渉ができるように、訓練プログラムの実施を労働局に要請しており、労働局では、現在、プログラムを作成中である。

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