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ニュース・フラッシュ

2017年6月20日 シドニー 山下宜範

豪:連邦議会、先住権法の改正法案を可決、現行の土地利用合意の手続きを維持

2017年6月14日付けの地元紙によれば、同日、連邦議会の上院において、現行の土地利用合意の手続きを維持するための先住権法(Native Title Act)改正法案が可決された。同法案は既に下院では同年2月に可決されていた。n2017年2月、連邦裁判所は、先住民との土地利用合意については先住民側の登録された全ての請求者の署名が必要であり、そうでなければ当該合意は無効であるとする新たな解釈に基づく判決を下していた。一方、現行の手続きではこれら請求者の過半の署名があれば足りるとされていた。この2月の連邦裁判所の判決により、先住民の土地所有者と鉱山会社との間の120件以上の土地利用の合意が無効となることから、連邦政府は先住権法を改正し、上記判決を覆すこととした。今回の法改正によって、既に国家先住権委員会(Native Title Tribunal)に登録済みの合意は有効であること、先住民との合意が同委員会に提出済みであるがまだ登録されていない合意も有効であること、将来の合意については全ての先住民による合意は必要ではないことなどが確保された。
なお、2月の連邦裁判所の判決で影響を受ける可能性があったプロジェクトには、インドのAdani社によるCarmichael炭鉱開発プロジェクト(QLD州)も含まれていた。Adani社は4つの先住民グループと各々合意を締結していたが、グループ内で分裂が起こり、この合意は「ごまかし」であったとして、Wangan族とJagalingou族の一部のメンバーが、連邦裁判所さらにQLD州最高裁判所に対してプロジェクトの中止を求める裁判を起こしており、このため同プロジェクトが頓挫する可能性があった。2017年4月に連邦政府のMalcolm Turnbull首相が訪印した際、同首相はAdani社のGautam Adani会長に対して問題の解決を図ることを約束していた。

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