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豪:Iluka Resources社、買収前のSierra Rutile社による汚職スキャンダルへの対応を強いられる
2017年8月15日の地元メディアの報道によると、豪ミネラルサンド大手のIluka Resources社(以下、Iluka社)が買収したSierra Rutile社に絡む汚職スキャンダルに巻き込まれている。Iluka社はシエラレオネにルチル鉱山を保有するロンドン企業であったSierra Rutile社を2016年12月に375mA$で買収したが、買収後のIluka社の調査により、買収前のSierra Rutile社のCEOでシエラレオネの次期大統領候補と目されるJohn Sisay氏からシエラレオネ政府高官に対して、Iluka社へ引き継がれる鉱業権を担保する目的の贈賄行為があったことが認められた。また、シエラレオネ政府閣僚のDiana Konomanyi氏の国際フライト料金として5万A$以上をSierra Rutile社が支出していたことが判明したため、Iluka社は英国とシエラレオネの関係当局に調査結果を通報し、現在捜査が行われている。
Iluka社は8月16日にホームページ上に声明を出し、買収前にSierra Rutile社により行われた幾つかの行為がIluka社の行動規範に反するものであることは2017年4月の株主総会時に既に指摘していたとおりであるとし、今回の件はIluka社がSierra Rutile社を管理下に置く前に実施されたことでありIluka社自身は汚職行為を断じて許容しないとした上で、Iluka社の事業に何ら影響を与えるものではないとしている。地元メディアによると、同8月16日にIluka社CEOのTom O’Leary氏は、同社が実施したSierra Rutile社買収前のデューデリジェンスでは汚職行為を見抜くことは難しく、デューデリジェンス自体は適切であったと発言した。
地元メディアは、本件によりIluka社が、当局による捜査や罰金の対象、シエラレオネ政府との関係悪化、或いは株主訴訟のリスクにさらされている可能性があるとし、高リスク国における企業買収の危険性が露呈した形となったと指摘している。
