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ニュース・フラッシュ

2017年9月6日 メキシコ 森元英樹

ニカラグア:大統領、大統領令による環境影響報告書の排除を宣言

 2017年8月30日付け地元紙は、ニカラグアDaniel Ortega大統領は、大統領令を通し、投資家による事業実施前の環境影響報告書の実施義務、環境天然資源省(Marena)による当該許可を付与する権限を排除したと報じた。本8月28日官報第163号に掲載された大統領権限に係る大統領令15-2017の第3条によると、ニカラグアの天然資源の持続可能な利用の許可を付与することができるとする。
 Enrique Bolaños前大統領による環境影響評価システムの勅令76-2006は、第2条においてこのルールは、環境影響評価書の実施を対象とした活動、プロジェクト、事業及び産業等の分野、天然資源投資計画及びプログラムに適用されると規定された。なお、本条は、新大統領令の第7条により削除された。
 一方、大統領令15-2017第6条において、国家緊急事態の活動、プロジェクト及び事業は、国家緊急事態に対応する災害や国益もしくは国家安全保障のプロジェクトを緩和するために計画されたプロジェクトで不可抗力の理由がある場合、環境天然資源省は、環境影響評価書の例外の解決の政令を制定することができ、その評価書を必要とする活動もしくはプロジェクトへ緊急の措置をとることができる。
 しかしながら、この新たな15-2017大統領令の官報掲載を受け、環境団体及び組織は、国の天然資源の運命について懸念を表明し、同イニシアティブの拒絶を宣言した。また、環境関係者は、新たな大統領令は、国内法、国際及び地域協定と条約に違反する。また、それは、鉱物、森林、生物多様性資源の採掘・抽出を許可するための環境規制を無視し、天然資源を使ってビジネスを行っている者に優位に働くシステムである。ニカラグアの天然資源の違法な活用につながる環境影響評価書の提出義務を廃止したことは大きな問題である。同様に、大統領令は、ニカラグアの天然資源を秩序ある方法で保護し、保存する目的で創設された法に違反する。また、動植物群の保全・保護地域である場所、及び自然保護区を守る条約と法律が乱れると、違法業者の活動を許容することになる、と述べた。

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