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2017年10月11日 シドニー 吉川竜太

PNG:Panguna鉱山の再開を目指すPNG政府・ブーゲンビル自治政府と地元地権者の泥沼の対立について

 2017年10月6日付のメディアは、再開発に向けた動きが泥沼化しているPNGのPanguna鉱山に関して報じている。PNGブーゲンビル自治州に所在する、世界最大級の銅鉱山の一つであるPanguna鉱山は、ブーゲンビル島内戦の影響で1989年に閉山し、現在に至っている。同鉱山の再開発計画を巡っては、2019年6月に実施が予定されているブーゲンビル自治州の独立の是非を問う住民投票への影響を考慮し、旧事業者であるBougainville Copper Ltd(BCL社)による早期の再開発を目指すPNG政府・ブーゲンビル自治州政府と、第二次世界大戦以降のオセアニア諸国で発生した内戦の中で、最大の死傷者を出したと言われるブーゲンビル島内戦の契機をつくったBCL社を忌み嫌う地元地権者グループとの対立が続いている。2014年に成立した新鉱業法に基づき、所有地内の鉱物資源について強い権利を保有する地元地権者グループは、豪州の投資家グループやASX上場企業であるRTG Mining社とコンソーシアムを結成し、PNG政府とブーゲンビル自治州政府を頼らない開発を指向している。なおメディア取材により、コンソーシアムを支援する地権者に対し、Panguna鉱山に関する交渉への参加費の名目でコンソーシアムから毎月600A$程度が支払われていること、コンソーシアムを設立した豪州投資家が、ブーゲンビル自治政府の要請により2024年までPNGへの入国を拒否されていることが判明した。BCL社は、鉱山へのアクセス道路や港湾などを含む周辺地域の権利を保有する8つの地権者グループからの支持を得ていると主張しており、コンソーシアム側の動きを鉱山の支配権を奪おうとするもので、多くのブーゲンビル島の住民が影響を受けていると非難している。
 同メディアは、現状ではBCL社は鉱山に必要な鉱物資源に権利を持つ地権者の支持を持たず、コンソーシアム側は政府のサポートとプロジェクトに必要な道路・港湾の権利を持っていないと指摘したうえで、ブーゲンビル自治政府のアドバイザーでオーストラリア国立大学の憲法弁護士であるAnthony Regan氏の、「ブーゲンビルが自立・独立するかどうかは独自の財源を持てるかどうかにかかっており、Panguna鉱山の将来と絶望的に関係した問題だ」とのコメントを紹介している。

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