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グアテマラ:経済専門家、Escobal鉱山の鉱業権停止等のグアテマラ政府の対応に不信感
2017年10月5日付け地元紙は、Escobal鉱山の鉱業権停止を踏まえたグアテマラ鉱業の現状についての専門家の見解を報じている。概要は以下のとおり。
・現在のグアテマラ鉱業にとって、政府の対応に不確実性があり、グアテマラへの鉱山投資を抑制する要因となっている。2017年7月に最高裁判所が下したTahoe Resources社のEscobal鉱山に対する鉱業権の停止命令は、グアテマラにおいて鉱業操業を行うことは非常に難しいと印象付けた。今回の停止命令は、NGO、環境団体Calasが先導し訴訟を起こしたもので、内容は同鉱山側と先住民の協議が行われていないと言うものであった。最高裁判所は、この環境団体等の主張を受け入れ停止命令が下されたが、Tahoe Resources社側は全面否定している。
・その後、2017年9月に鉱業権は復活したが、銀・鉛・亜鉛を生産する同鉱山操業は道路封鎖により中断され、しかも、生産物の輸出許可が更新されない事態が発生している。そのため、今後は、鉱山企業は、グアテマラのNGO団体等、コミュニティの動向をより注視しなければならなくなり、中米の案件を検討している企業の対象からグアテマラは外れる可能性がある。Tahoe Resources社のようにグアテマラで操業を行う企業は、他の国での生産を模索する必要がある。
・問題はグアテマラ政府の対応の不透明性、不確実性である。グアテマラでは、Escobal鉱山の他に、Kappes, Cassiday & Associates社が保有するTambor金プロジェクトにおいて、同様にCalasが介入し裁判を起こし、同プロジェクトの差し止めが下されている。両鉱山の問題には、国際労働機関(ILO)の第169号条約、「独立国における原住民及び種族民に関する条約」が関連してくる。グアテマラ農工商工金融セクター代表委員会(CACIF:経団連)は、169号条約は、より良い信頼関係による対話を確保するものであり、プロジェクトの停止や国の経済活動に悪影響を及ぼすための条約ではないと、コメントを発出している。
・今回の法的措置、政府の対応が影響を与えているかは不明であるあが、Goldcorp社は、2017年に入りMarlin金・銀鉱山を閉山し、更に、6月には、Cerro Blanco金プロジェクトをBluestone Resources社に売却し、グアテマラから引き上げを検討している。
