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2018年3月7日 メキシコ 佐藤すみれ

メキシコ:鉱業分野におけるリスク

 2018年2月23日付け業界紙等は、メキシコ鉱業部門において懸念されるリスクに関して報じている。各紙の概要をとりまとめた。内容は以下のとおり。
1.治安
 メキシコで鉱業活動を行うにあたり、地域によってリスクの種類は異なるが、Guerrero州、Oaxaca州を筆頭に南部では犯罪組織の活動と、住民運動が危険要素として高まりつつある。1つの例としてGuerrero州に位置するEl Limón-Guajes鉱山において勃発した抗議活動が挙げられる。さらに、環境NGO団体が鉱山の地元団体と関わりあっているがために、状況の改善はさらに困難になっている。
 北部のZacatecas州、Sonora州などの鉱業州では強盗が主な犯罪であり、多くは車両、燃料などを狙った犯行であるが、鉱山企業が安全対策を行っていることから被害件数は減少傾向にある。鉱山企業は、セキュリティシステムの導入、従業員への安全講習などの内部セキュリティ強化に加え、保険への加入も進めていることから、費用面での負担が大きくなっている。
2.政治面
 2018年7月の大統領選挙が近づくにつれ国内の治安はさらに不安定要素となる可能性がある。左派MORENA(国家再生運動党)の候補者で、現在最も世論の支持を得ているAndrés López氏(通称:AMLO)は、鉱業部門に関し、時に反対、時に賛成という矛盾した立場をとっていることから不安視されている。しかし、その他の主要候補者からは鉱業に関するコメントはない。仮にMORENAが勝利した場合、地元住民の権利を尊重する可能性があり、業界にとっては不安要素となる可能性はある。
 また、MORENAから議員候補者として元メキシコ鉱山冶金労働組合(STMMRM)代表のNapoleón Gómez氏が選出されたが、同氏は2006年にPasta de Conchos鉱山(Coahuila州)において65人の死亡者をもたらした爆発事故の責任追及を逃れるためカナダに逃亡していた者であり、7月の選挙で当選した場合、メキシコへ帰国できるようAMLOは何らかの措置を取ると発表している。一方、Gómez氏は鉱業政策に関心を示していないことから、鉱業部門へ影響はないと考えられている。
3.NAFTA再交渉に関して
 カナダ企業が、メキシコ国内の鉱業部門を代表する立場となっており、関税交渉では、鉱山機械を含めた交渉は重要である。交渉の先行きによって最も影響を受けやすいのはメキシコ国内の製造業であり、投資が減少した場合、失業者が増え、犯罪率が上昇する可能性がある。

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