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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ニッケル
2019年9月4日 ジャカルタ 南博志

インドネシア:政府が低品位ニッケル鉱石の再輸出禁止を2020年1月に前倒しすることを決定

 2019年8月30日付け地元メディアによると、Ignasius Jonanエネルギー鉱物資源大臣は8月30日、2017年1月から実施している低品位ニッケル鉱石(品位:Ni 1.7%未満)の輸出緩和措置の現行規則の期限2022年1月を前倒しし、2020年1月から再度輸出禁止とすることを定めた大臣規則に署名した。同大臣は、本措置はJoko Widodo大統領の指示に沿ったもので、高付加価値化が期待されている鉱物資源の下流産業への流れを加速するものであるとした。新規則の詳細は、2019年9月第1週に公表される予定。
 政府側は、これにより新たな投資を呼び込み国内のニッケル製錬所建設が加速し、さらには輸出収入が伸び、経常収支の赤字削減に結び付くとの期待感を示した。またニッケル大手PT Vale Indonesiaは、電気自動車向け電池材料としてのニッケルは重要で、国内での電池材料産業の成長等がインドネシア経済に利益をもたらすと述べている。一方、業界団体(APNI:インドネシアニッケル鉱業協会)は逆に、この早期の輸出禁止により国内製錬所建設に充てる資金が不足し大きな損害が生じるのではないかとの懸念を示した。また、一部シンクタンクは国内でニッケル鉱石価格が上がらず高騰する国際価格との乖離が生じることへの懸念を示し、長期間を要する製錬所建設の事業計画に配慮すべきとの意見を述べている。
 その他、政府は8月26日付けで、国内の製錬所建設が政府提出計画より遅延した場合の罰則を定めるエネルギー鉱物資源大臣規則を公布している。
 なお、インドネシアでは2009年の新鉱業法施行により鉱物資源の高付加価値化政策の方向性が定められ、2014年1月から3年間、ニッケル鉱石、ボーキサイト等の未加工鉱石や一部鉱種の精鉱の輸出を禁止(銅精鉱は輸出可能)したものの、鉱業会社の収入減少等の影響により、2017年1月から鉱石・精鉱の輸出条件を5年間限定で緩和していた。

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