ニュース・フラッシュ
- 鉱種:
- 金 銅 銀 亜鉛
中南米:中米・カリブ海地域におけるCobre Panamá銅鉱山に続く鉱山プロジェクトへの期待
2019年9月11日付け地元紙は、加First Quantum社が保有するパナマCobre Panamá銅鉱山の商業生産開始に注目が集まる中、中米・カリブ海地域において有望とされる鉱山では約1,500mUS$の設備投資計画が発表されているとして、同地域の今後の有望プロジェクトを紹介している。なお、グアテマラでは鉱業コンセッション承認に関連した操業停止、ドミニカ共和国では鉱業法改正案の提出による投資環境の不確実性があるが、ニカラグアでは反政府抗議運動が和平プロセスに向け進んでおり、新たな鉱業投資への道を開く可能性があるとまとめている。
・Barrick Gold社がドミニカ共和国に保有するPueblo Viejo金鉱山(Barrick社:Goldcorp社=60:40)は、処理プラント能力の増強を含む2030年代の大規模拡張に向けた1,000mUS$の投資計画を発表(2019年5月29日付 ニュース・フラッシュ:Pueblo Viejo鉱山、2020年に大型投資に向けた実現可能性調査を実施予定参照)、中米・カリブ海地域においてCobre Panamá銅鉱山に続く投資案件として期待されている。Barrick Gold社幹部は、平均以下の生産コストで500千oz/年以上の金を生産し、10年以上のマインライフを有するだけではなく、2040年をはるかに超える鉱山生産が確保される可能性があると述べている。
・加Bluestone Resources社(本社:バンクーバー)がエルサルバドル国境付近のグアテマラ内に保有するCerro Blanco金プロジェクトは、2021年の生産開始を目指しており、直近の金価格上昇により開発はさらに加速される可能性がある。同社は、2020年初頭に鉱山施設建設開始に向けた資金調達計画を取りまとめている。現在の同鉱山の資産評価結果(2019年2月4日付 ニュース・フラッシュ:加Bluestone Resources社、Cerro Blanco金プロジェクトのFS調査を公表参照)は、金価格1,250US$/ozでIRR(Internal Rate of Return:内部収益率)34%となっているが、同1,400US$/ozとなると同率は43%にまで上昇する。さらに、8年間の平均年間生産量は113千ozまで増加している。一方、グアテマラの鉱山投資環境は不透明な状況にあり、Solway Investment Group社が保有するFénixニッケル鉱山の操業停止問題(2019年7月25日付 ニュース・フラッシュ:憲法裁判所、Fénixニッケル鉱山に操業停止を命じる参照)、加Pan American Silver社が保有するEscobal銀鉱山の操業停止問題(2019年8月6日付 ニュース・フラッシュ:Pan American Silver社、Escobal銀鉱山問題の1つを解決(和解)参照)などの問題があり、Cerro Blancoプロジェクトに影を落とす可能性がある。
・加GoldQuest Mining社がドミニカ共和国に保有するRomero金プロジェクトは、探査ライセンスは付与されたが、開発ライセンスの承認プロセスで問題(2018年4月4日付 ニュース・フラッシュ:Romeroプロジェクト、開発停止命令が下される参照)が発生し、作業が停滞している。2016年のFS結果発表(2016年9月28日付 ニュース・フラッシュ:加GoldQuest Mining社、Romero多金属プロジェクトFS調査結果発表参照)では、高い生産性等の評価が出されており、その後、IRRは金価格1,300US$/ozで28%、同1,400US$/ozで34%に上昇すると推定されており、銅、亜鉛、銀の副産物も生産される。一方、現在、同国では鉱業法改正案が議会に提出(2019年6月13日付 ニュース・フラッシュ:ついに、鉱業法改正案を議会に提出参照)され、同改正案には鉱山企業が政府に収める税等の額の比率についても触れられているところ、同国の鉱山投資環境の変化として注視が必要である。
・英Condor Gold社がニカラグアに保有するLa India金プロジェクトは、2018年に環境許可を取得した後、実行可能性調査を進めており、近く同調査が完了する予定である。同プロジェクトは土地利用に係る手続きに時間を要した(2019年7月25日付 ニュース・フラッシュ:La India金プロジェクト、土地利用に係る合意締結の期限が延長参照)ことから作業が遅れていた。また、ニカラグアでは、加Golden Reign Resources社(本社:バンクーバー)がNueva Segovia県に保有するSan Albino金プロジェクトがあり、小規模ではあるが、世界最高レベルの露天掘り金プロジェクトの1つとなると考えられている。現在は、2020年第2四半期の商業生産開始に向け、土木工事作業及び機器の調達作業が進行中である。
