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ニュース・フラッシュ

鉱種:
2019年9月25日 リマ 栗原健一

ペルー:Las Bambas銅鉱山、社会争議による影響や検討中の対策などについて説明

 2019年9月16日付け地元紙によると、Las Bambas銅鉱山(Apurimac州)を操業するMMG社のOssio商業・財務副社長とDrago総務・法務副社長は、インタビューにおいて、社会争議による影響で2019年の銅生産見通しを下方修正しなければならないことや、争議対策の難しさ、精鉱輸送方法の変更を検討していること等について説明した。
 まず社会争議に関しては、9か月前に設置された対話協議会において、中央政府や州政府、地方自治体と共に鉱物輸送道、社会的責任、鉱業Canon税など様々なテーマについて話し合いが行われてきた一方、地域住民からの過度の期待が存在することを懸念している旨明らかにした。特に、精鉱輸送道周辺の土地価格の過大評価や、追加的な補償金を要求する権利があるとの考えに基づく道路封鎖が行われ、封鎖解除の条件として閣僚による即時の現地訪問が要求されるなど、同社にコントロールできない側面や圧力が存在すると説明した。
 また、最大の問題は頻繁な道路封鎖であるとし、2019年2月4日から69日間にわたった長期の道路封鎖では輸出や生産に影響が及んだほか、7月から8月にかけてはTia Maria銅プロジェクト反対デモにより17日間道路封鎖の影響を受け、さらに最近も3日間の道路封鎖が行われた旨明らかにした。
 その結果、2019年における同社の生産量は当初見込みの400千tから、2018年とほぼ同じ385千tに留まる見通しであること、2019年上半期の売上は前年比33%減の902mUS$となり、このうち11%は金属価格減少を要因とする一方、残り22%は69日間の道路封鎖による輸出中止が要因であること、これらの影響により過去12か月間でMMG社の株価は63%下落したことなど説明した。同様に、2019年6月時点でLas Bambas銅鉱山の損失は76mUS$にのぼり、その結果2019年に納付するロイヤルティは前年比30mPEN(ヌエボ・ソーレス)減少する見通しである旨明らかにした。
 また、争議発端の要因となった精鉱輸送道における粉塵や騒音などの環境対策については、環境影響調査書(EIA)の3度目の修正を完了したほか、環境負荷の緩和やモニタリング活動等を実施していると説明した。さらに、精鉱輸送の手段に関して、現在政府はApurimac州内の主要鉄プロジェクトとSan Juan de Marcona港を結ぶ570kmの鉄道開発プロジェクトを実施していることに言及、本鉄道が開通した場合、現在利用中の精鉱輸送道の代替手段になり得るとの考えを示した。加えて、MMGに本プロジェクトを売却したGlencoreが当初計画していた精鉱輸送パイプラインについても敷設の可能性を検討していることを明らかにし、パイプラインの終着地点を鉄道との合流地点までとするかなど、ルートにより投資額が変わることも含め、様々な検討・分析を行っていると説明した。その他、鉄道利用が決定された場合、Matarani港ではなく、San Juan de Marcona港から輸出が行われる可能性があるとしたほか、精鉱輸送パイプラインについては国内ではAntamina銅鉱山が300kmに及ぶパイプラインを利用していることに言及し、道路利用をめぐる様々な問題の有効な解決策となり得るとの考えを示した。
 一方、同社は2010年から2018年までに総額3,067mPENを納税し、別途850mPENのロイヤルティを納付したほか、2021年又は2022年以降10年間の鉱業Canon税とロイヤルティの総額は8,500mPENにのぼる見通しを示した。
 最後に、Las Bambas銅鉱山に存在する3つの鉱床のうち、2016年から現在までFerrobamba鉱床が採掘されているが、2022年以降、2番目のChalcobamba鉱床の採鉱を開始する見通しを明らかにした。

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