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2019年10月1日 リマ 栗原健一

エクアドル:憲法裁判所、Azuay県知事の要請を却下

 2019年9月17~19日付け地元各紙によると、憲法裁判所は、Azuay県のYaku Pérez県知事及び同県Ponce Enríquez郡のBaldor Bermeo郡長による住民投票実施に係る合憲性審査要請をそれぞれ却下し、審理を終了(結審)した。
 Pérez県知事は、同県において「Azuay県の水源地、水源の涵養域・流出域・調節域、高山草原地帯、湿地、保護林及びその生態系が脆弱な地域における金属鉱業の探査、探鉱、採掘活動を例外なく禁止することに賛成するか?」とする住民投票用質問に関して、また、Bermeo郡長は、「郡管轄内で、憲法と関連法規に則り、環境と水資源を尊重し、関係当局により合法的に認可されたすべてのフェーズの金属鉱業活動について、実施されることに賛成するか?」とする同質問に関する合憲性審査を裁判所に要請していた。
 憲法裁判所は判決の主な理由として、質問が投票者の完全な自由を保障しておらず、憲法にも沿っていないことを指摘した。具体的には、「一般的な言葉を以て、高山草原地帯や保護地域、或いは保護森林が被害を受ける云々の形で論ずることも、また、ある県全体を鉱業ゼロ県として宣言しようと提起することも出来ず、採掘によってどの地域が生態に対して直接的な影響を受けるのか、金属鉱業か非金属鉱業か、大規模か中規模か零細か、さらには探査・探鉱・採鉱のどのフェーズの活動か、認可済みか手続き中か等について明確にしなければならない。」とした。
 この判決に対し、憲法を専門とするJuan Francisco Guerrero教授は、「国益に関するテーマは地元レベルの住民投票では決定できないとの根本は最終的に解決されていないが、セクターにおける法の確実性の決定的確立に向かう重要な一歩である。」と伝えるとともに、「このような形式上の厳密な要件は、Azuay県知事が提出した様な住民投票実施要請を実行不可能にするものであり、もし知事がAzuay県を金属鉱業ゼロ県にしたいとあくまで望むのであれば、裁判所が定めたすべての基準をカバーするために800以上の質問を提出しなければならなくなるだろう。」と述べた。
 一方Pérez県知事は、反対運動は水源周辺の金属鉱業に対するものであって全体に向けられたものではないとし、憲法裁判所は行政府、会議所、外国企業に服従し、権利の遂行を保証していないと述べた。また、裁決は全く法的なものではなく、むしろ政治、経済的なものであり、背後には強大な利害関係があると評し、今後抵抗運動を過激化するとして、全国レベルの国民投票、憲法第407条の改正、制憲議会設置の3オプションを提示、まずは憲法改正に向けてEcuarunari(山岳地方が基盤の先住民組織)の活動を活発化させ、10月に動員を行うと発言した。

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