閉じる

ニュース・フラッシュ

鉱種:
亜鉛
2019年11月12日 メキシコ 森元英樹

メキシコ:投資環境の不透明性が増すも、生産量は増加(2019年11月:社説)

 2019年11月5日付け地元紙は、メキシコに投資を行っている鉱山企業関係者のコメントを引用し、メキシコ鉱業の現状を紹介している。概要は以下のとおり。
・Andrés Manuel López Obrador(AMLO)大統領の任期中、規制強化、許可手続きの煩雑化、税を含めた政策の変更に対する懸念が残る現状において、投資家のメキシコへの認識は悪化している。また、専門家は、組織化された犯罪集団による地域支配があり、広大な国土を持つメキシコにおける法の支配の脆弱性に鉱山企業は苦しんでいると指摘している。
・加Torex Gold社(本社:トロント)幹部は、鉱山基金制度の変更について不安を吐露した。同幹部は、政府が承認した鉱業基金の活用法の変更は、州政府のみならず鉱山が位置する市町村からも不満が出ている。(2019年10月25日付 ニュース・フラッシュ:左派AMLO政権誕生後、初の国際鉱業大会開幕(鉱業州知事が開会式挨拶で異例の連邦政府批判を展開)参照)鉱業界は過剰な規制、課税、セキュリティ問題等を抱えており、制度の変更により鉱山周辺のコミュニティ及び地方政府からの要求がさらに増大することを危惧していると語った。
・鉱業専門家は、Zacatecas州が独自に制定した環境税条例に対する訴訟で加Newmont Goldcorp社が敗訴した件について、州政府が環境税を課す動きに注視する必要があると指摘している。Zacatecas州が制定した税は、土壌汚染物質、特定の種類の露天掘り、大気放出、公共または民間の埋立地での廃棄物の収集などの産業活動に対する税であり、このような税を徴収しなくても全ての州が環境対策として進めることができる内容であると指摘している。
・一方、8月の鉱工業生産指数は、鉛が21.7%、金が8.0%、銀が4.1%、銅が0.7%生産量を伸ばした結果、対前年同月比2.6%上昇している。連邦政府も鉱業分野の重要性を理解しており、Newmont Goldcorp社が保有するPeñasquito多金属鉱山において発生した道路封鎖問題にはAMLO大統領も同鉱山の地元への貢献を述べ、内務大臣及びZacatecas州知事なども参加したダイアログによる解決が図られている。

ページトップへ