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ニュース・フラッシュ

鉱種:
亜鉛
2020年1月15日 メキシコ 佐藤すみれ

メキシコ:国内3件のメガプロジェクト進捗状況

 2020年1月8日付け地元紙によると、投資額1,000mUS$を超える国内3件のメガプロジェクトについて、生産量が合計で年間銅290千t、金17.1t(550千oz)、銀279.93t(9百万oz)、亜鉛40千tと大幅増加が期待されているが、開発が中断しているプロジェクトや、生産開始までに最低でも5年が見込まれているものもあり、地元紙は各プロジェクトの現状を以下のとおり報じている。
・Metates金・銀・亜鉛プロジェクト(加Chesapeake Gold社、Durango州)
 世界最大級の未開発金銀鉱床の一つに挙げられており、投資額は3,500mUS$、確定・推定鉱量は金569.19t(18.3百万oz)、銀15,614t(502百万oz)、亜鉛1,814千tと見込まれている。同社は金属価格の下落に伴い、2016年に銅プロジェクトの開発を中断した。2016年に発表されたFSによると、CAPEXは3,500mUS$と試算され、一日当たりの粗鉱処理量は初期の30千tから、生産開始5年後に90千tに増加する計画である。マインライフは27年、平均年間生産量は金14t(445千oz)、銀276t(8.86百万oz)、亜鉛40千tと見積もられている。しかしながら、FSでは経済的実現可能性が十分でないとの評価で、金価格を1,250US$/ozと見積もった場合のIRRは7.7%、1,400US$/ozと見積もった場合に11.3%とされる。同社は今後、Metatesプロジェクト周辺に位置するSan Javier、Cerro Pelón、Crisyの3プロジェクトにおいて探鉱を進めていくと同時に、冶金技術のコスト削減のため技術評価を行っていると2019年に発表した。地元紙は、最近の金属価格上昇が、Metatesプロジェクトの開発に追い風となる可能性を指摘している。
・El Arco銅、金プロジェクト(米Southern Copper社、Baja California州)
 Southern Copper社は同プロジェクトを世界最大級の鉱床と呼び、2,900mUS$を投じ開発を目指している。年間生産量は銅190千t、金3.27t(105千oz)と予想されている。同社による2019年第3四半期の発表によると、現在土地利用権取得の手続きを行っているが、開発に向けた承認は未だ得られていない。生産開始時期は2025年と想定されているものの、メキシコやペルーに保有する別案件への投資を先行させるため、金属価格や設備投資制限などの条件次第では時期が変更される可能性がある。
・La Verde銅・金・銀プロジェクト(加Solaris Resources社、Teck Resources社、Michoacán州)
 2018年に発表された同プロジェクトの予備的経済評価(PEA)では、投資額1,160mUS$、年間処理量30百万t、年間銅生産量100千t、マインライフは19年と発表されている。銅価格を2.70US$/lb、金価格を1,200US$/ozと見積もった場合のISRは13.5%、銅3.00US$/lbと見積もった場合は21.2~28.6%と試算されている。Solaris社によると、現在は開発に向けた今後の段階を評価しているが、詳細は未定のため、エクアドルに保有するWarintza銅プロジェクトの開発に注力している。La VerdeプロジェクトのPEAを担当したAMC Consultantsによると、両社に対しFSに進むことを勧めているほか、環境及び社会影響調査をはじめとする一連の調査を6.6mUS$で行うことを提案しているという。地元紙は、Solaris社及びTeck社が今後投資を継続、中断または売却するかは不明であると報じている。

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