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ペルー:鉱業石油エネルギー協会会長、ペルー鉱業の現状や2020年の見通しについてコメント
2020年2月17日付け地元紙によると、鉱業石油エネルギー協会(SNMPE)のFumagalli会長は、2019年の鉱業投資額は前年比24.5%増の6,157mUS$に達したものの、その4割は2018年に建設を開始したMina Justa銅プロジェクト(Ica州)、Quellaveco銅プロジェクト(Moquegua州)、Toromocho銅鉱山拡張プロジェクト(Ancash州)の3件に由来し、2019年に鉱山建設を開始したプロジェクトは1件もなかったとして、ペルー鉱業の持続的な成長に対する懸念を抱いているとコメントし、2020年に政府は明確な投資ルールとリーダーシップを示すべきとの考えを示した。
また、エネルギー鉱山省(MINEM)によれば、2020年に以下6件のプロジェクトが建設開始を予定しているものの、融資を模索中のCorani銀プロジェクト(Puno州)では、融資確保には政府による明確なルールの提示が必要だとしたほか、Coroccohuayco統合プロジェクト(Cusco州)では、環境影響調査(EIA)は承認済みであるものの、EIAと先住民事前協議を混同した一部反対派の扇動により社会争議が発生している旨明らかにした。さらにYanacocha硫化鉱鉱床プロジェクト(Cajamarca州)やSan Gabriel金プロジェクト(Moquegua)ではFSを実施中であり、取締役会の承認を得なければならないとコメントした。その他、2020年にはInmaculada金・銀鉱山改善プロジェクト(Ayacucho州)やPachapaqui亜鉛鉱山拡張プロジェクト(Ancash州)の建設も計画され、これら6件の投資総額は4,000mUS$にのぼるものの、全ての案件で建設準備が整っているわけではないとコメントした。
さらに、MINEMによる2020年の建設予定案件としてTia Maria銅プロジェクト(Arequipa州)が含まれていないことは遺憾だとし、次期政権には、本プロジェクトの全てのステークホルダーとの合意形成に向けた計画策定やリーダーシップが求められるとした一方で、現政権においても、対話に向けた準備を進めることはできるはずだと意見した。
また、鉱業の持続的な成長に不可欠な探鉱活動が2012年からほぼ連続的に減少しており、2019年の探鉱投資額は357mUS$と、2012年の905mUS$から61%減少している状況に関して、ペルーの地質ポテンシャルに着目し、投資に関心を持つ企業は存在することから、探鉱活動における膨大かつ煩雑な許認可手続きが改善されれば、探鉱投資額は早々に回復するとの考えを示した。
なお具体的な制度改善としては、現在探鉱活動の実施前の段階で義務付けられている先住民事前協議を、探鉱により資源の存在が確認され、次のステージに進むことが決まった段階で実施するよう、制度を変更することが提言されるとコメントした。
2019年は複数の社会争議が発生し、2020年初頭にも、南部鉱物輸送道の封鎖により2件の鉱山の操業に影響が出たとした一方、社会争議は(鉱業投資において)取り組まなければならない課題・障害であり、政府には社会格差の解消を念頭に対話協議を率いてもらいたいとの考えを示した。
さらに社会争議の要因は2つのグループに大別できるとし、1つ目は基礎インフラ・サービスの欠如と政府の不在、2つ目は合意事項の不履行や環境負荷、鉱業に関する知識の欠如であるとした。その上で、1つ目の要因グループには、格差解消や開発の取り組みが、2つ目のグループには、より多くの情報提供・周知活動が必要であるとの考えを示した。
最後に、新型コロナウイルスによる影響に関して、中国は経済大国でありペルーから輸出される銅の6割が中国向けとなっていることから、同国の経済減速による影響には懸念しているが、他方、現時点では中国からの鉱産物の受注や、中国向けの出荷の遅れなどはペルーでは報告されておらず、動向をウォッチしていくとコメントした。
