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2020年3月4日 ジャカルタ 南博志

インドネシア:新型コロナウイルス肺炎感染拡大によるインドネシア鉱業への影響

 標題のニュースに関して、2020年2月の地元メディアの報道を取りまとめた。
 2月3日付け地元メディアによると、中国・青山集団が運営している中部Sulawesi州のMorowali工業団地では生産は通常どおりであり、影響は出ていない。同工業団地では、書面による許可無しに43千人の従業員全員の出入りを禁止しているほか、海外からのゲスト受入れも禁止している。また、中国から5千人以上の労働者を雇用しているが、1月25日以降に中国人労働者の新規雇用と帰国は無く、従業員全員が検査を受けたがウイルス感染者も見つかっていないとのこと。ただし、今後は中国から輸入している一部の原材料及び設備、さらには中国人従業員にも影響は出るだろうとの見方は出ている。また、青山集団関連プロジェクトに関しては、2月25日及び26日付け地元メディアによると、同工業団地の電池材料生産予定のHPAL(高圧硫酸浸出)技術を用いたニッケル製錬所の建設の遅れが懸念されているほか、仏・Eramet社とのJVである北Maluku州のWeda Bayニッケルプロジェクトの開発進捗が遅れる可能性が指摘されている。一方、2月13日付け地元メディアによると、PT Vale Indonesiaはニッケル製品を中国には輸出しておらず影響は無いと述べている。
 また、2月21日付け地元メディアによると、銅鉱山における操業状況に関して、PT Freeport Indonesia(PTFI)は2月19日時点で「感染拡大発覚以降、これまでのところは中国への出荷は行われておらず、影響は出ていない」としている。また2月12日付け地元メディアによると、PT Amman Mineral Nusa Tenggara(AMNT)も「中国には長期供給契約を締結している顧客がいないため影響は出ていない」とコメントしている。ただし、両社とも日本、韓国への輸出が多く今後の状況には予断を許さないと思われる。
 なお、インドネシアでは2月5日0時0分以降、中国本土との直行便の運航停止及び中国本土に14日間以上滞在した外国人訪問者のインドネシアへの入国並びにトランジットを認めない等の対策をとっている。なお、3月2日に同国初の感染者として2名が報告されたところである。また、2月26日付け地元メディアによると、政府は2月25日、新型コロナウイルス肺炎感染拡大による国内経済への影響を回避するため、大きな打撃を受けている観光業への支援や貧困層への支援拡大等を盛り込んだ総額10兆3千億IDR(インドネシアルピア:約800億円)の景気刺激策を発表している。

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