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その他:Benchmark Minerals社、リチウムイオンバッテリーのサプライチェーンへの影響分析公表
Benchmark Minerals社は2020年3月26日、新型コロナウイルス肺炎によるリチウムイオンバッテリーのサプライチェーンへの影響分析を公表した。
アジアのバッテリーセル:新型コロナウイルス肺炎による需要への悪影響により、需要減少の最初の例として、欧州の主要自動車メーカー1社から韓国のリチウムイオンバッテリーメーカーへの注文が減少した。また、米国生産者1社が欧州への注文を遅延させる、又は減少させるといった負の圧力も見られる。これらは、欧州の自動車業界が新型コロナウイルス肺炎によって大きな打撃を受ける最初のシグナルである。ディーゼル車は既に需要不足に見舞われているが、世界の景気後退と購入量減少により、欧州の自動車業界の回復は抑制され続ける見通しである。短期的(1年)には電気自動車への打撃が大きいものの、長期的(2022、2023年)にはガソリン車との競争が落ち着いていくと予想されるため、純粋な電気自動車のリバウンドがさらに強まると予想している。
米国のバッテリーセル:同国のリチウムイオンバッテリーセルの中規模EV消費者1社からのバッテリー供給にはまだ影響は見られていない。
物流(海上):日本、韓国、中国の電化製品向けの大手バッテリー生産者は操業を継続しているが、船舶及び航空輸送に問題を抱えており、物流がこの業界の共通課題となっているが、海上輸送への影響は航空輸送よりも小さい。春節以降、中国からの海上輸送の遅れにより輸送用コンテナ不足が発生し、輸出予約ができない場合や希望の日程に間に合わない場合が発生している。また、船舶の数が減り閉鎖される港の数が増えると予想され、海運料金が高騰する可能性がある。
物流(陸上):アフリカ諸国が継続して国境閉鎖を行っており、特にコバルトのサプライチェーンにリスクをもたらす。南アとザンビアの国境が必需品の物流以外全てを21日間閉鎖したことにより、DRコンゴから南アへのコバルト輸送においては、主要港であるDurban港へのコバルト輸送が止まることになる。現状では中国におけるバッテリー材料の需要は低いままで影響は抑制されているが、アフリカにおける国境封鎖が長引けば、一時的な市場の縮小をもたらす可能性がある。中国の精製業者が材料の購入を検討しているという報告も受けている。
需要(電化製品):電化製品生産者はロジスティックの制限により、バッテリー以外の部品の調達に問題を抱えている。サプライチェーン全体の問題により、リチウムイオンバッテリー市場の20%に需要の低下リスクがある。特に韓国の電化製品生産者は3月上旬に操業を一時停止せざるを得なかったが、今は操業を再開しているところが多い。これにより、中国のバッテリー供給者がより多くの生産を後押しするだろう。
中国:2019年には主に電化製品向けLCOカソードの76%が中国で生産されていたが、2020年1月及び2月のバッテリー生産量は80%以上減少した。短期的にはバッテリー入手時期への影響が遅れて発現する。3月15日時点で92%のバッテリー生産者が生産を再開したが、すべての工場がフル稼働できていない。
中国の家電製品需要:今後、電化製品生産者が操業を遅らせるか停止する場合には、需要側により大きなリスクがある。特にこの業界は世界のサプライチェーンと定時輸送に大きく依存している。中国のバッテリー供給者は、2020年第1四半期の生産減少を取り戻すよう取り組んでおり、中国政府が国内生産量を確保するため補助金や他の支援策を準備しているとみられる。
