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2020年4月10日 バンクーバー 佐藤すみれ

メキシコ:COVID-19感染拡大により想定される鉱業部門への影響

 2020年4月7日付け地元紙は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により想定される国内鉱業部門への影響につき、様々な懸念があるものの、結論として国内で操業を行う企業が概して財政的に安定しているほか、不測の事態による操業停止に対する備えがあることから、閉山や倒産といった最悪の事態は防げるとの見解を示している。以下概要である。
1.生産量減少
 連邦政府が不要不急の活動を2020年4月30日まで禁止すると命じたことから、多くの鉱山が現在操業停止中あるいは停止に向け操業縮小中であり、生産量減少は免れないとみられる。最新の情報としては、加Coeur Mining社、加First Majestic Silver社、墨Grupo México社、加Telson Mining 社が操業の一時休止を発表している。COVID-19による影響は数か月続く可能性もあるほか、生産量が完全に戻るために要する時間を考慮すると、少なくとも5月まで生産損失につながる恐れがある。
2.閉山、破産の懸念
 仮に操業停止が数か月続いた場合、加Torex Gold社、加First Majestic Silver社、加Endeavour Silver社のようにメキシコ国内のみに鉱山を保有する企業に対し、特に重い負担がのしかかることが予想され、最悪の場合閉山に追い込まれることも想定される。しかしながら加Scotiabankのアナリストは、Torex社、加Equinox Gold社、加Alamos Gold社を筆頭に大多数の企業は資金的に余裕があるとし、楽観的な見解を示している。
3.プロジェクト開発の遅延
 感染症拡大を受けてプロジェクト開発も一時中断となっており、地元紙は加SilverCrest Metals社のLas Chispas金・銀プロジェクトおよび英Bacanora Lithium社のSonoraリチウムプロジェクトの資金調達に影響が出る恐れがあると報じている。
 またこのほかには、鉱山従業員や鉱山地域コミュニティに対する影響や、輸出への影響とそれによるメキシコの国際競争力が失われる可能性への懸念が報じられている。

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