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2020年4月20日 リマ 栗原健一

ペルー:COVID-19に係る国家緊急事態令の鉱業セクターへの影響

 2020年4月14日付け地元業界紙によると、3月15日にCOVID-19に係る国家緊急事態令発出から1か月が経過した現時点において、鉱業セクターの活動再開に関して政府の明確な決定は示されていないものの、政府は財源確保のため、厳格な安全・衛生管理のもとで段階的な生産セクターの活動再開を行う方針を示している。
 このような中、国家緊急事態令発出後から現時点まで鉱業セクターに与えた影響について、専門家は以下のとおり意見した。
<現地コンサルタントMacroconsult社>
・4月15日現在、ペルーではAntamina銅鉱山(Ancash州)、Cuajone銅鉱山(Moquegua州)、Toquepala銅鉱山(Tacna州)など市街地から離れた場所にキャンプ地のある多くの鉱山が生産を停止している。その結果、2020年の鉱業セクターのGDP成長率は4%減で、2018年から3年連続の低成長となるほか、直近10年で最低の成長率となる見通しである。
・政府がこれまでに示した産業活動再開の方針に加えて、鉱業セクターは遠隔地で活動するため感染者数が少なく付加価値も高いなどの利点があり、最も早期の活動再開が期待されている。
<Cardozoペルー鉱業技師協会(IIMP)部長>
・鉱業セクターにおける活動停止期間が1か月で終了し、早々に操業が再開すると仮定した場合、2020年の鉱産物生産量や輸出総額は2019年比で5~20%下落する見通しである。
・鉱産物輸出総額は28,000mUS$であった2019年から、およそ1,400~5,600mUS$の下落が予想される。
・生産量についても2019年比で5~20%の減少が見込まれる。特に銅は複数の大規模鉱山が約1か月操業を停止したことによる影響が大きい。一方、鉄についてはMarcona鉄鉱山の拡張により、影響を緩和できる見通しである。
・金属価格については、銅価は比較的緩やかに下落(2019年2.73US$/lbから2020年2.5US$/lb)する一方、回復基調にあった亜鉛価格は、現在1US$/lbを切るレベルとなっており、厳しい見通しである。Volcan社の格付けはBBBからBBに引き下げられた。このような状況の中、鉱山企業はキャッシュフロー確保や、技術の活用によるコスト削減に努めなければならない。同日、MMG社はLas Bambas銅鉱山(Apurimac州)の2020年生産見通しを撤回することを香港証券取引所に対して報告した。
 なお、Las Bambas銅鉱山は、3月4日時点で、2020年における銅生産量は350~370千tとなる見通しを示していたが、3月15日にペルー政府がCOVID-19に係る国家緊急事態令を発出後、規模を縮小の上で操業を継続していた。その後、緊急事態期間が4月26日まで再延長となることが決定されたことを受けて4月9日に不可抗力を宣言、契約義務の履行は不可能となることを明らかにしていた。

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