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ニュース・フラッシュ

鉱種:
2020年5月7日 北京 塚田裕之

中国:2020年3月の国内精製鉛の生産・在庫について

 安泰科が国内37社の一次鉛企業(総生産能力382万t)と33社の再生鉛企業(総生産能力398万t、使用済みバッテリーの解体能力598万t、他の鉛含有廃棄物の処理能力42万t)の生産統計調査を実施したところ、2020年3月の精製鉛生産量は前年同月比17.7%減の33.6万tで、対前月比6.9万t増であった。そのうち一次鉛の生産量は対前年同月比4.6%減の20.9万tで、対前月比2.2%増の0.4万tであった。再生鉛の生産量は対前年同月比32.9%減の12.7万tで、対前月比101.6%増で、3月の精製鉛生産量の37.8%を占めた。
 2020年1~3月の精製鉛生産量は、対前年同期比16.1%減の93.9万tであった。そのうち一次鉛の生産量は対前年同期比0.6%増、再生鉛の生産量は対前年同期比37%減であった。2020年3月には、国内の新型コロナウイルス肺炎感染拡大が一層に収まり、山東省、遼寧省等地域の一次鉛の生産量は前月と比較して増えた。これまで点検作業を実施した湖南省や雲南省等地域の企業も国内生産増加に力を入れている。一部主要企業は、原料供給障害のため減産または生産規制措置を取り入れ、また、青海省、広西、河南等の地域では新規点検作業を行った企業もあるため、3月の一次鉛の生産増加は期待されたほどではなかった。
 3月の再生鉛生産量は、週間ベースでは漸増傾向を見せており、地域によって異なる状況が現れている。河南にある主要企業の再生生産能力は再開しており、生産増加が目立っている。安徽地域にある多くの企業は技術改善作業を実施しているため、稼働中の企業は点検や原料不足等により生産再開が遅れ、生産量が増加しなかった。貴州地域の再生鉛企業は、3月初めに生産再開したが、使用済み電池の供給不足により、生産が伸びなかった。初期の製錬段階における利益は限られているため、中小規模企業の生産再開は遅く、生産量の増加に貢献していない。
 総合的に見ると、再生鉛の生産量は2月と比べ増加し続けているが、2019年3月と比較すると減少している。4月には、使用済み電池の供給不足がより緩和され、主要再生鉛企業の生産は通常に戻る見込み。そのうち主要生産地の安徽、江蘇等地域の生産は増加を維持する。
 一次鉛分野において、3月には点検作業を実施した企業が通常生産に戻り生産も増加する見込みだが、鉛精鉱の供給は地域的に不足となり、一部製錬所の原料在庫数は20日間以下に削減し、さらに鉱石輸入が阻止され、原料不足が深刻化する可能性がある。一部の製錬所は、一時的な原料不足問題に対応するため減産することも考えられる。4月国内精製鉛の生産量は3月より6.5万t増加する予想である。4月初め、主要一次鉛製錬所の在庫数は1.4万tで、3月初めより4.7万t減った。社会全体の在庫数の変動状況を踏まえ、鉛産業全体の稼働率が上昇していると考えられるが、今後は蓄電池企業の在庫や稼働率の変動により注目する必要がある。

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