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中国:雲南省政府、重要非鉄金属製品買い上げへの支援実施
現地報道によると、4月24日、雲南省人民政府は「実体経済成長支援における措置」通達を発表し、重要企業による非鉄金属製品の買い上げを支援することを設定した。企業による買い上げの実施、銀行から融資の取り付け、財政から補助金の取得、市場操作の実施、自己資金による実施という原則に従って、省内の銅、亜鉛、鉛、錫、インジウム、ゲルマニウム及びその他の主要非鉄金属製品について、今後1年間で総量80万tを買い上げるとした。
買い上げに必要な資金については、企業が製品の質権を担保として銀行から融資を取り付ける。省レベルの財政から特別資金として10億元を割り当て、企業が銀行から融資を受ける際の利息補填とする。錫、ゲルマニウム、インジウムへの買い上げる企業に対しては80%の利息補填を、また、銅、電解アルミ、鉛、亜鉛を買い上げる企業に対しては60%の利息補填を与える(省工業と情報化庁が主体となり、省発展改革委員会、省財政庁、省地方金融監督管理局、省国有資産監督管理委員会が協力する)。SMM社は、こうした雲南省政府の支援策の影響について調査を行い、各鉱種に関して以下のとおり言及した。
銅:現地の銅企業は、通達を受けたものの、具体的にどう実行するのか、あるいは、どの程度取引するのか明示されていないとの見解を示している。銅現物は余剰という状況ではなく華北地域では供給不足も見られており、現物プレミアムも高いレベルで維持し、企業にとって買上げはあまり意味がない。強制的に実行すれば、現物市場にとってメリットの高い話である。
亜鉛:亜鉛鉱山の供給不足はより深刻化する可能性があり、在庫も低減し続け、短期的な国内亜鉛市場のパフォーマンスは悪くないと予測している。買上げの実施により市場の活気を高めることができると思われるが、具体的な買上げ量が明示されず、買上げ期間も明示されていないため、価格に対するポジティブな影響は限定的である。
鉛:過去の状況から見ると、鉛の買上げ回数は非常に少なくかつ買上げ量が多くない。よって、今回の商業的買上げは、鉛業界への影響が限られる。一時的に現物プレミアムに影響するが、価格に対する影響は大きくないと思われる。
錫:雲南地域は、国内精製錫の主要生産地である。現在、買上げの詳細が明らかになっておらず、業界内の関係者は詳細情報を待っている。原料不足により、今後錫インゴットの生産が制限される見込み。春節休暇や新型コロナウイルス肺炎の感染拡大により、錫市場における需要は小さく、上流の錫インゴットの在庫量は比較的多い。今後錫インゴットに対し買上げを実施すれば、ある程度錫インゴットの在庫が減少し、市場流通量が低減することが予想される。
インジウム:関係者の話によると、買上げの実施以外に、政府は利子補足融資等政策も実施予定で大手企業にメリットがあるものと見込まれる。
ゲルマニウム:雲南地域にある大手ゲルマニウム地金生産企業にとって、買上げによる利子補填支給政策は特別配当金を得るようなもので、ある程度企業自身の財政コストを下げることができる。供給過剰業界にとっては実行性が高い政策である。新型コロナウイルス肺炎感染拡大の影響を受け、国内外のゲルマニウム地金ユーザーによる消費状況はあまりよくない。主要大手企業は一定の在庫を維持している。短期間内に一部在庫が商業的備蓄製品とされる場合、市場の供給量が低減される一方、市場価格にも良い作用を与え、生産企業の資金面の問題を緩和できる。
