ニュース・フラッシュ
- 鉱種:
- 銅 亜鉛 鉄鉱石 アルミニウム/ボーキサイト クロム その他
カザフスタン:鉱業製錬部門に対するCOVID-19の影響
2020年5月22日付けの地元報道等によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による悪影響が、カザフスタンの鉱業製錬部門に及んでいる。業界を左右するのは金属の国際価格であるが、COVID-19の発生により主要金属の価格は年初から13~25%下落している。COVID-19がカザフスタンの鉱業製錬部門に与えた影響や、企業が衛生・疫学的要件を満たすために負担する費用等について、カザフスタン鉱業製錬企業協会(AMME)のNikolay Radostovets会長が以下のとおり語った。
■鉱業製錬部門に対するCOVID-19の影響について
鉱業製錬部門の特徴は、コロナ危機に陥るスピードが遅く、その後の回復に時間がかかることにある。銅、アルミニウム、亜鉛、フェロクロム、鉛の需要は減少した。欧米企業は自動車生産を縮小、場合によっては停止している。多くの企業が航空機生産を停止したため、チタンとアルミニウムの需要が落ち込んだ。販売市場は縮小を続けている。
専門家の予想によると、COVID-19の影響を受けるのは、需要(原料需要は大幅な変動にさらされる)、サプライチェーン(スペアパーツ不足による生産の中断や、外国からの原料輸入停止の可能性あり)、労働力(生産の一時停止の脅威や生産能力の大幅低下)である。
■COVID-19予防対策向け支出について
業界の大手・中堅企業27社は、予防・疫学的対策(非接触体温計、手と空気の消毒殺菌用浄化装置、マスク、消毒剤、防護服の購入、クリーンルームの準備・装備、従業員移動時の対人距離確保のためのバス台数補充、追加の医療サービス導入)のため、既に23.3bKZT(カザフスタン・テンゲ)を支出した。
■鉱業製錬関係企業への危機の影響を緩和する政府支援策について
2020年5月20日付けカザフスタン政府決定第307号により承認された「2020年末までの経済成長回復のための包括的計画」には、AMMEが鉱業企業と共にこの2か月間で検討してきた多くの対策が盛り込まれている。同計画には、利益率の低い鉱床に対する鉱物採取税の軽減税率適用の審査手続き迅速化、付加価値税(VAT)の自動還付の上限の80%への引き上げ、法人所得税前納の一部について2021年4月10日への延期、非常事態期間に作成された会計・税務会計等関連の一次資料のスキャン(コピー)の合法性認定など、課税関連の諸対策が反映されている。
■AMMEの追加提案について
AMMEは、非常事態宣言後すぐに、鉱業企業における目下の包括的問題をタイムリーに解決するための緊急対策本部を立ち上げ、政府当局との連携により多くの問題を解決した。例えば、非常事態期間中は地下資源利用者による調達の手続きが簡素化され、困難な状況下では単一のソースから商品・労働・サービスを購入可能である。また、企業のシフト勤務者の入退出スキームが作成され、政府に承認された。
さらに、AMMEは、法人所得税の前納を翌期以降に延期するよう要請している。また、企業の運転資金に不可欠なVATの適時還付を確保しなければならない。鉱業製錬関係企業に対するVAT還付の遅延や不履行により、企業の運転資金が枯渇し、生産に支障をきたす可能性がある。企業が24時間操業できる条件を作ることも重要であり、このためAMMEは、税務調査を含む検査を一時停止し、企業を部外者から完全に隔離することも提案している。
AMMEはまた、産金市場の自由化、地質調査のVAT免除、地下資源利用者に対しカザフスタンの人材の教育という契約上の義務履行を2020年末まで免除することなど、危機の悪影響の軽減を目的とした諸提案を行っている。
