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ニュース・フラッシュ

鉱種:
クロム ボロン/ホウ素 モリブデン
2020年6月24日 北京 塚田裕之

中国:紫金鉱業が巨龍銅業50.1%の権益を買収、チベットにおける銅鉱資源開発も視野に

 安泰科によれば、紫金鉱業集団は全額出資子会社であるチベット紫金鉱業を通じ、チベット巨龍銅業の権益50.1%を、38.83億元で取得すると発表した。巨龍銅業の銅金属保有量は795.76万tで、モリブデン金属量37.06万tを含有している。2019年末時点の国内全体の銅埋蔵量は11,443.49万tあり、うち紫金鉱業が保有するのは5,725.42万tで50.03%を占めている。巨龍銅業の権益買収により紫金鉱業集団の保有する銅埋蔵量は6521.18万tとなり、56.99%を占めることになる。
 巨龍銅業は、傘下に駆龍銅多金属鉱床、栄木錯拉銅多金属鉱床、知不拉銅多金属鉱床を有し、うち駆龍銅多金属鉱床や知不拉銅多金属鉱床では既に採掘権許可証を取得、栄木錯拉銅多金属鉱床では探査権を取得、精密調査を終え、採掘権許可書を申請中である。駆龍銅多金属鉱床(栄木錯拉鉱床を含む)には、2019年末時点で74億元が投じられたが、資金不足により2019年下半期からほぼ建設停止状態となっていた。紫金鉱業によると、駆龍銅多金属鉱床(同上)の採掘選別事業の財務評価を行ったところ、当該事業の第1期工事に要する投資総額は146億元となり、追加投資72億元が必要との試算結果となった。紫金鉱業の計画では、駆龍銅多金属鉱床及び栄木錯拉銅多金属鉱床の第1期事業では10万tから15万tへと拡張が行われた上で2021年末までの生産開始が予定されており、マインライフは8年間、銅年間生産能力16.5万t、モリブデン0.62万tが見込まれている。また、第2期の事業規模は、処理能力30万t/日、第1期事業生産開始7~8年後に建設開始が予定されている。建設完了後は、銅年間生産能力26.3万t、モリブデン1.3万tが見込まれている。2019年の紫金鉱業の年度報告書によると、銅生産は対前年比27.55%増の87.13万tであった。今般計画の第1期事業分の銅生産量は、年間銅生産の18.94%を占め、第2期分は30.18%を占める。
 知不拉銅多金属鉱床に係る採掘選別工事は、ほぼ完了し試験操業段階に入っている。稼働後、鉱床上層部の露天掘り採掘規模は6,000t/日、最初の8年間は露天掘り作業を実施し、銅年間生産能力は2.35万tである。下層部では、坑内採掘規模を3,000t/日計画し、9~15年目に実施する予定である。
 公告によると、巨龍銅業傘下プロジェクトの所在地の最高標高5,566m、10月末には結氷期となり、4~5月に解凍期に入る。紫金鉱業は、巨龍銅業は数多くの低品位銅鉱資源を有しており、経済的に実現可能な条件下で低品位資源を十分に活用すれば、事業の価値を引き上げられるとしている。
 なお、紫金鉱業集団の他に、中国アルミ、西部鉱業等企業もチベットでの銅鉱資源開発を行っている。統計によると、チベットでは101種の鉱物資源が発見されており、特にフェロクロム、銅、ホウ素、地熱資源が豊富である。青蔵高原全体の鉱物資源総量は、銅8,000万t、金2,000t、鉛亜鉛3,000万tに達するとされる。国による西部大開発政策の急速な発展により、チベットは国内最大の銅生産基地と呼ばれている。

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