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ニュース・フラッシュ

鉱種:
リチウム
2020年10月7日 バンクーバー 佐藤すみれ

メキシコ:連邦政府、リチウム資源国有化の判断を急ぐ

 2020年10月1日付け専門紙の報道によると、Andrés Manuel López Obrador(AMLO)大統領はリチウム資源国有化に関し、政府が早急に決断を行うと発言した。2020年9月に与党Morena(国家再生運動)のAlejandro Armenta Mier上院議員は、リチウム資源を国有化し、国営企業の設立を目的とする憲法第27条の修正案を連邦上院議会執行部に提出しており、今後上院内で審議が進められる。AMLO大統領は定例会見において、リチウムは国の戦略資源かつ収入源になり得る、早急に判断するため現在経済省が関連調査を進めていると述べた。しかしながら、すでに憲法において鉱物資源の所有権は国家に帰属すると定められており、AMLO大統領は、どのような条件下でコンセッションを付与するべきかを検討する必要があると主張した。
 専門紙がBaker&McKenzie法律事務所に行ったインタビューによると、メキシコでは既に付与されているコンセッションに対して遡及的に影響を与えることはできないという原則があるため、存在するコンセッションに対しては法改正による影響は少ないとみられているが、一方で将来的に新たなコンセッションが付与される可能性は低くなることが予想される。また、政府の財政力も懸念され、開発のため数百万US$もの投資が行われる可能性は低いと考えられる。加えて複数企業のアナリストが否定的な意見を述べており、民間企業との協力を通じて財政力の欠如が克服できる可能性はあるものの、国営石油会社(PEMEX)の状況からしても、政府には十分な管理能力が無いことは明らかであるほか、技術面の課題も主要な懸念の一つとされている。

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