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ニュース・フラッシュ

鉱種:
レアアース/希土類
2021年2月3日 北京 塚田裕之

ミャンマー:レアアース鉱石輸入に対する影響について

 新華社の報道によると、ミャンマーの与党・国民民主連盟(NLD)の広報担当は、現地時間2021年2月1日未明、ウィン・ミン大統領、アウンサン・スー・チー国務顧問及び幹部らが軍によって拘束されたと明らかにした。
 現地報道によると、ミャンマーは中国の中重希土鉱石の最大の供給国であり、中国税関の統計データによると、2018年にはミャンマーから炭酸希土25,829.124tを輸入し、輸入額は18,552,844US$であった。また、2019年及び2020年の輸入量は12,986.216t及び6,225.179tであったほか、本2か年における輸入額は、それぞれ18,337,530US$及び21,809,636US$であった。
 中国では、過去3年間にわたってミャンマーからのレアアース輸入が減少し続けており、2019年にはミャンマー政府が数回国境封鎖措置を実施したため、輸入量が半減した。2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大や雨季(5~10月)による減産、あるいは乱掘による鉱床品位の低下等により、混合炭酸希土(レアアース混合物)の輸入が更に減少した。調査会社の統計によると、中国国内の中重希土鉱石分離工場では、2020年時点の処理能力として、30~35千tが計上されている。国内のイオン型希土類鉱山(中重希土類を主とする)の採掘指標は19,150tであることから、ミャンマーからの供給量が約半分を占める。
 調査会社によれば、「今回の事態は、ミャンマーから輸入に対し直接的な影響はほとんどない。」としている。また、「ミャンマー国内の鉱山は、主に地方軍の直接管理にあり、政府軍とはほとんど関係がない。さらに中央政府は、ミャンマー北部の遠く離れた地域に対する管理権限が弱いことから、これまで国境封鎖の時期でも、ミャンマーからの鉱石輸入は継続されていた。過去2年の鉱石輸入減少は、現在発生した事態によるものではない。ただし、今後、何らかの影響が生じる可能性がある。例えば、不安定な情勢変化による鉱山従事者の労働意欲低下、事業者の投資削減などが挙げられる。」として言及している。

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