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ニュース・フラッシュ

鉱種:
亜鉛 鉄鉱石 アルミニウム/ボーキサイト マンガン
2021年3月31日 ジャカルタ 川村伸弥

インドネシア:コロナ禍により、製錬所建設の遅れにもかかわらず未加工鉱石輸出を継続

 地元メディアが2021年3月20日に伝えたところによると、インドネシア政府は、必要な製錬所の建設が進んでいない中、ニッケル以外の未加工鉱石輸出を継続する。Arifin Tasrifエネルギー鉱物資源大臣は、3月12日に大臣令No46.K/MB.04/MEM.B/2021を発行し、コロナ禍を国家災害として宣言した大統領令No12/2020の発行以来、企業が製錬所を建設することが難しい中で、輸出許可を与えることができるとしている。Arifin Tasrif大臣は、政府には規則に基づき輸出許可を与えない権利があるが、輸出許可を与えない場合、政府の収入と会社の従業員を含む社会的影響を及ぼすとしている。
 鉱産品からの高い付加価値を得るため、インドネシア政府は、未加工鉱石の輸出禁止を開始する2023年まで輸出を継続できる条件の一部として、鉱業会社に国内製錬所の開発を要求している。政府は、6か月ごとに製錬所プロジェクト建設の進捗状況を監査する独立監査人を任命しており、エネルギー鉱物資源省によると、プロジェクトが建設目標の90%に達した場合、プロジェクトはスケジュールどおりであると見なし、90%を満たしていない製錬施設を有する金属鉱物生産鉱業事業許可(IUP)および金属鉱物生産特別鉱業事業許可(IUPK)保有者に、輸出許可を与えることができるとした。ただし、建設スケジュールを満たしていない鉱業会社は、輸出額の20%の罰金が課せられると付け加え、この輸出インセンティブは、国内での製錬所建設義務を排除するものではないとしている。
 なお、建設が遅れている事業者が輸出を認められた未加工鉱石は、銅精鉱、鉄鉱石、鉛精鉱、亜鉛精鉱、マンガン精鉱、ボーキサイト(洗浄済みでアルミナ含有率42%以上)の6つで、ニッケル鉱石は、採掘から生産までの電気自動車のサプライチェーンを構築するための外国企業の入札を推奨する観点から、対象外としている。
 また、PT Freeport Indonesia(PTFI)は、East Java州Gresikで銅製錬所の開発を計画しているが、コロナ禍により、2020年末までの建設は目標の10.5%に対し5.86%しか達していないため、銅製錬所プロジェクトの完了が2023~2024年に遅れる可能性があると述べているところ、2021年3月12日発効の政策は、PTFIに利益をもたらすものとなるとしている。地元メディアが2021年3月24日に伝えたところによると、エネルギー鉱物資源省は、PTFIに対し、建設の進捗が遅れているものの、2百万tの銅精鉱の輸出割当量を増やした新規1年間の輸出推奨許可を発行した。同社は、以前の輸出許可の下で、約1百万tの銅精鉱の輸出を割り当てられていた。一方、Arifin Tasrif大臣は、PTFIに義務付けている銅製錬所の建設が遅れているため、罰金を科すとしている。PTFIは、Gresikで銅製錬所建設の延期を政府に申請しているが、同大臣、延期はまだ承認していないとしている。PTFIは現在、国営鉱業持株会社MIND IDが51%以上を管理し、残りは米国拠点のFreeport McMoRanが保有している。

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