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ニュース・フラッシュ

鉱種:
亜鉛
2021年5月6日 バンクーバー 佐藤すみれ

メキシコ:国内で進む複数鉱山企業による脱炭素化の取り組み

 2021年4月26日付け専門紙は、国内で操業を行う複数企業が進める脱炭素化計画を以下のとおり取り上げた。
・加Torex Gold社
 Guerrero州で操業中のEl Limón-Guajes金・銀・銅鉱山において8.5MWの太陽光発電プラントを建設すると発表した。ノルウェーScatec社とリース契約を交わし、温室効果ガスを最大8.6%削減することが見込まれている。20年間のリース期間で1.0mUS$/年のコスト削減が可能とされ、投資回収期間は7年と見込まれている。
・加First Majestic Silver社
 同社が保有する鉱山のうち、Santa Elena銀・金鉱山はディーゼル発電を利用している最後の鉱山であり、現在12.4MWのLNG火力発電所の建設が進行中である。2021年第1四半期末には同鉱山の電力のうち85%をLNGで賄うと見込まれている。
・加Alamos Gold社
 Mulatos金・銀鉱山を結ぶ送電線の設置が進行しており、同鉱山でのディーゼル発電量を減らすことで温室効果ガス排出量の12%/年削減が見込まれている。
・米Newmont社
 現在、Peñasquito多金属鉱山における太陽光および風力発電施設の建設計画を評価中であるほか、同社全体の温室効果ガス排出量を2030年までに30%削減、2050年までに実質ゼロとする目標を発表している。
 しかしながら、2021年3月には、公共電力調達源として電力庁(CFE)による発電を優先させることを主な目的とした電力産業法の改正法案が可決、公布されている。民間企業による再生可能エネルギーを利用した発電事業が規制されることにより、電力調達の選択が制限される可能性が懸念される。墨Fresnillo社は、保有鉱山における使用電力のうち75%を自社風力発電施設によって賄うことを計画しているが、法改正により同社の計画にも影響が及ぶ可能性があることから、何らかの法的手段を検討していると明かした。また、加Telson Mining社も現在開発中のTahuehueto多金属鉱山に太陽光発電施設を建設することを計画中であるものの、法改正によりどういった影響が及ぶかは不明であると懸念を示した。なお、改正法は既に公布されているものの、即日複数企業が連邦政府を相手に訴訟を起こしたことから、合憲と判断されるまで差し止めの措置が取られている。

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