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ニュース・フラッシュ

鉱種:
チタン ジルコニウム レアアース/希土類 レアメタル
2021年5月10日 モスクワ 秋月悠也

ロシア:ロシア連邦軍産委員会、レアメタル・レアアースに関するロードマップ実施状況を確認

 2021年4月21日付けの地元報道等によると、ロシア連邦軍産委員会の科学技術評議会議長は2021年4月、トムスク国立大学において、レアメタル・レアアースに関する科学専門家パネル会合を開催した。会合出席者は、2019年7月に政府と国営企業Rosatom社との間で調印された基本合意書(目的はロシアにおけるハイテク分野「新素材・新物質技術」の発展)のロードマップ実施動向を確認した。
 レアメタル・レアアースの主な利用分野は、強力永久磁石、先端構造材料、自動車産業用触媒、高品質の光学部品やガラスであり、これらは、ロシアの武器、軍用・特殊機器を製造する上で極めて重要とされている。
 レアメタル・レアアース埋蔵量ではロシアは世界第2位であるが、その年間生産量は世界市場の2%に満たない。ロシアには生産チェーンの中間工程(分離・製錬)がないため、ほぼすべてが輸出されている。特定のハイテク製品(磁石、触媒、光学機器等)の国内メーカーによるレアアース消費量は年間約2千tと僅少で、中国からの輸入で完全に満たされており、これは国家安全保障と国内産業発展にとって問題とされている。
 科学専門家パネル会合では、Rosatom社が「Tuganskoe鉱床のチタン・ジルコニウム砂鉱をベースとする生産立ち上げプロジェクト」(チタン・プロジェクト)の状況に関する報告を行った。試算では、Tuganskoeチタン・ジルコニウム鉱床(Tomsk州)の開発により、ロシアのレアメタル・レアアース開発ロードマップにおける目標値の範囲内で、世界のジルコニウム精鉱の2.3%、チタン精鉱の1.3%が生産可能となる。また、ロシアはジルコニウム精鉱の100%、チタン精鉱の90%を輸入代替できるようになる。また、Tugansky採鉱選鉱コンビナート・プロジェクトのオペレータであるIlmenite社は、採鉱選鉱コンビナート第1期について、計画砂鉱生産能力で2021年第3四半期に操業を開始することを報告した。
 会合では、トムスク国立大学と火山学研究所による、Kudryavy火山を例とする火山起源のレニウムその他のレアメタル・レアアースの抽出や、シベリア及び北極圏におけるレアメタル・レアアースの開発に関する提案も検討及び承認された。

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