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2021年5月11日 リマ 栗原健一

ペルー:Fujimori大統領候補、鉱業Canon税の40%の地域住民への直接支給を提案

 2021年5月3~5日付け地元業界紙等によると、2021年5月1日、Cajamarca州Chotaで行われた大統領候補のディベートにおいて、Fujimori候補は、鉱山企業が納付する所得税の50%に相当し、操業地域の自治体や自治体や国立大学などに対し交付されている鉱業Canon税について、その40%を地域住民に直接支給することを提案した。
 本提案について、Fujimori候補は後日、過去5年間に自治体に交付された鉱業Canon税の4割が未利用の状態となっているとし、貧困率が高い鉱業実施エリアにおいて、自治体が投資能力の欠如や汚職などの問題を抱える場合、直接配分は最も有効で即効性のある手段であるとの考えを示したほか、既に他国で同様の施策が実施されておりその有効性が証明されていると主張した。また、本施策の実行には国会による鉱業Canon法の改正手続きが必要であることも承知しているとコメントした。
 本提案に関する専門家の見解として、エコノミストのCasas氏は、地域住民の不満解消など一定の効果を認めつつも、鉱業Canon税は鉱山操業に左右される不安定な財源である中、住民が現金支給に慣れてしまうことへのリスクを指摘の上、例えばCOVID-19に係る緊急給付とするなど、時限的な措置とすることが望ましいと意見した。
 他方、ペルー経済研究所(IPE)のBarrantes主席研究員は、本来の鉱業Canon税の利用目的である基礎インフラ整備の資金を奪うことになってしまうと指摘、特に上下水道、教育、医療施設などが不足するエリアでは、本施策は勧められないと意見した。
 さらにMoquegua州のCuevas知事は、本施策は非常にポピュリスト的な提案であると意見したほか、Arequipa州Arequipa郡のCandia知事は、鉱業Canon税は格差是正(のためのインフラ事業実施)を目的として利用されるべきであり、直接支給すれば本来の趣旨から逸れてしまうとして反対の意向を示した。
 なお、2021年4月30日のIpsos Peru社によるアンケートによれば、両大統領候補の支持率はCastillo候補43%、Fujimori候補34%となっている。

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