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ニュース・フラッシュ

鉱種:
パラジウム ロジウム その他 ニッケル
2021年5月20日 モスクワ 秋月悠也

ロシア:環境被害の補償を純利益から支払うことを企業に義務付ける可能性

 2021年5月12日付けの地元報道等によると、Norilsk Nickel社の燃料流出事故に対する2bUS$の罰金支払いにより、同社の課税ベースが縮小したことを受け、ロシア政府は環境被害の補償を会計上の費用項目からではなく、純利益から支払うことを企業に義務付ける可能性がある。
 Norilsk Nickel社は2021年3月、2020年5月に発生した北極圏での燃料流出事故に対し、ロシアでは前例のない額の環境罰金を支払った。この支払いの大部分は、同社が主要納税者の一人であるクラスノヤルスク地方ではなく、連邦予算に納められた。
 Mishustin首相は2021年5月、下院における政府年間活動報告で、「2020年5月にNorilsk市の熱併給発電所で起きた最大級の事故を受け、重大な結論が出された。被害の除去は加害者の負担で行われるが、その費用は企業が営業経費として支払うべきではない。これにより、利益が減少し、地方予算への納税額も減少し、被害の除去が一般市民の負担で行われることになる。そのようなことはあってはならない。損害補償は企業の純利益から支払われなければならない。そうしてこそ、企業の所有者や経営トップが責任を持つことになる。」と述べた。ロシア企業は通常、20%の法人税を支払っており、連邦予算に3%、地方予算に17%が配分されている。
 Norilsk Nickel社の2020年IFRS決算によると、同社は2020年に設定した環境引当金から罰金を支払ったが、環境引当金は「その他の営業費用」に含まれており、営業利益を減少させた。
 環境引当金設定後、Norilsk Nickel社のEBITDAは、パラジウムとロジウムの価格上昇に支えられ、2020年はわずか3%減の7.7bUS$となり、純利益は39%減の3.6bUS$となった。法人税は945mUS$で、2019年の1.6bUS$から減少した。
 Mishustin首相は、「大統領の指示により、所有者に被害の除去責任を負わせる法案を準備する。企業は『後始末は自分で』の原則に基づいて活動すべきだ。」と述べた。

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