閉じる

ニュース・フラッシュ

鉱種:
2021年5月20日 モスクワ 秋月悠也

キルギス:Kumtorプロジェクトに外部管理を導入する可能性

 2021年5月11日付けの地元報道等によると、キルギス議会は、同国政府がKumtor金鉱床における生産に外部管理を導入することを可能にする一連の法改正を可決した。これは株式会社法と刑法の改正であり、文書は署名のため大統領に送られた。
 改正により、市民の生命を直接脅かす労働安全衛生関連法の違反によって、コンセッション契約に基づいて事業を行う企業(Kumtor Gold Company(KGC社)のみが該当)に外部管理(銀行口座を含む)を課す権限をキルギス政府に与えられる。これは、Kumtor金鉱山に対する加Centerra Gold社の所有権や、鉱山事業を規制する2009年プロジェクト協定で定められた同社の権利に悪影響を及ぼす可能性があると指摘されている。
 2021年3月、キルギス市民がKGC社の氷河での廃石保管に対し民事訴訟を起こし、5月には環境損害賠償3bUS$以上のキルギス政府への支払いを求める追加申立てを行った。Bishkek市Oktyabrsky地区裁判所は、Kumtor鉱床開発におけるDavydov氷河とLysyi氷河への廃棄物保管を違法とし、261.72bKGS(キルギス・ソム)をキルギス政府に支払うようKGC社に命じた。Centerra Gold社によると、2009年の協定はKumtor鉱山の操業に堅固な基盤を提供するもので、2009年にキルギス議会と憲法裁判所により承認されたと指摘している。これらの協定は、2017年に「環境保護と投資開発に関する戦略協定」(2019年発効)が締結された際にキルギス政府が再確認している。当該戦略協定には、キルギス政府が、締結時点における全ての未解決の請求(産業廃棄物を氷河に保管したことで環境が被ったとされる損害の賠償請求を含む)から同社を免除するという条項が含まれている。
 また、国税局が実施した2015~2020年の税務調査に基づき、KGC社に170mUS$以上が追徴課税される可能性がある。Centerra Gold社によると、税務調査結果は精査中であるが、既に支払い済みの税金と重複している可能性があるとしている。なお、2020年のKumtor鉱床の金生産量は556,136ozであった。

ページトップへ