ニュース・フラッシュ
- 鉱種:
- その他 リチウム
加:Clean Energy Canada、国内のバッテリーサプライチェーン構築に向け、政府・産業界が直ちに取るべき行動を提示
2021年5月18日、Simon Fraser大学の気候・クリーンエネルギーチームであるClean Energy Canadaは、電気自動車(EV)業界における同国の主要な利害関係者からのヒアリング調査結果をまとめた報告書「Turning Talk into Action:Building Canada’s Battery Supply Chain」を公開した。本報告書では、カナダにはバッテリー分野において成功するための適切な材料があり、世界的なサプライヤーとしての地位を確立する一世一代の機会があるが、サプライチェーンを構築するためには迅速な対応が急務だとしている。Clean Energy Canadaは、カナダが次に取るべきアクションとして、以下9点を挙げている。
- 迅速かつ協調的な方法で政策決定を行うために、省庁、部署横断的な「バッテリー事務局」を設立する。
- 国内のバッテリー産業育成に向け、2021年末までに産業界主導の「バッテリータスクフォース」を立ち上げる。
- 加米間の統合された市場を活用し、サプライチェーン上の利害関係者の交流を促し、投資を促進するために、2022年中に「北米バッテリーアライアンス」を開発する。
- バッテリー関連投資を呼び込むために、持続可能なバッテリー金属、鉱物、材料の供給可能性を開放する。
- 地域の自動車メーカーにバッテリー材料を供給するため、サプライチェーンの中流における処理能力を拡張する。
- バリューチェーン上の戦略的プロジェクトに対する課題解決、支援を目的とした「バッテリーサプライチェーン基金」を創設する。
- 自動車OEMやTier 1メーカーの製造工場誘致に向け、カナダのクリーンで責任あるバッテリーブランドを積極的に宣伝する。
- 産業界主導でバッテリー製造、研究開発技術の商業化を支援するため、政府出資の「バッテリー研究拠点」を設置する。
- EVやバッテリー、更には原材料や部品に対する十分な需要が確保されるよう、北米の堅調な市場をサポートする。
現在、ON州ではFord Motor社やStellantis社(旧Fiat Chrysler社)、General Motors社等の大手自動車メーカーがEV製造工場の建設準備を進めているほか、QC州では加Li-Cycle社をはじめとするスタートアップ企業による、使用済みリチウムイオン電池(LIB)のリサイクル事業開発が盛んに行われている(2021年5月18日付 ニュースフラッシュ:Li-Cycle社、米GM社と韓LG社の合弁会社とリサイクル契約を締結参照)。また、2021年度の連邦予算では、バッテリー開発を含む温室効果ガス(GHG)の排出削減事業を行う中小企業等を対象とした法人所得税率の引き下げや、バッテリーメタルの処理技術に係る研究開発支援、クリティカルミネラルに関する政策調整機関の設立等が発表されており、北米サプライチェーン構築に向けた動きが加速している。
