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ニュース・フラッシュ

鉱種:
鉄鉱石 アルミニウム/ボーキサイト クロム
2021年6月8日 北京 塚田裕之

中国:国務院常務会議、大口商品価格高騰への対応を7日間で二度指示

 安泰科によると、李克強首相は2021年5月19日、国務院常務会議を主宰し、大口商品の供給確保と価格安定に努め、経済の安定を維持するよう指示した。中国政府筋によると、同会議では、2021年に入ってから世界的な物価上昇を始めとする複数の要因により、一部の大口商品等の価格が上昇し続けていると指摘した。この大口商品価格高騰による不利益を重視すべく、市場の変化に対応しつつ供給を確保し、価格上昇を抑制、消費者物価への影響がないよう努力しなければならない、とした。国務院常務会議が大口商品の価格上昇について言及するのはこの7日間で2度目であり、2021年5月12日に開催された同会議では、国内外の情勢と市場の変化を分析し、大口商品価格の過度な上昇とその影響に対応するよう1回目の要請をしていた。
 中国は世界最大の大口商品消費国であり、この大幅な価格変動は国の経済と住民生活に直接影響を与えるものであるが、2021年は一部の大口商品(鉄鋼、一部の非鉄金属等)の急激な価格上昇が起きていることから、国家や業界がその動向を注視している。
 2021年4月、国は税収を引き締めるべく、財政部および国家税務総局が「一部鉄鋼製品の輸出税還付の撤廃に関する公告」を発表し、2021年5月1日から一部鉄鋼製品の輸出税還付を取り消した。そのうち、銑鉄、粗鋼、再生鉄鋼原料、フェロクロム等の製品に対して輸入暫定税率をゼロとし、珪鉄、フェロクロム、高純度銑鉄等の製品の輸出関税を引き上げた。また、合金鋼粉末、ステンレス鋼線など一部の鉄鋼製品の輸出税還付を撤廃した。
 2021年5月12日、鄭州商品取引所、上海先物取引所、大連商品取引所は、動力炭、ねじ鋼、熱延コイル、鉄鉱石等品目の関連契約について、取引保証金基準および取引手数料基準の引き上げ、値下げ幅などの臨時的な監督管理措置を講じると発表した。
 2021年5月23日、国家発展改革委員会、工業情報化部、国有資産監督管理委員会、市場監督管理総局、証監会等5つの部門は会議を開き、鉄鉱石、鋼材、銅、アルミニウムなどの業界で比較的強い市場影響力を持つ重点企業と協議した。その結果、関連する監督当局は、大口商品先物市場と現物市場の監督管理を強化し、違法行為に対する「ゼロ容認」を強化し、法に基づく検査を継続的に執行し、独占協定、虚偽情報の流布、価格の競り上げ、買い占めなどの違法行為を断固として法に基づき厳しく取り締まる、とした。
 企業関係者の話によると、国の減税・料金引き下げなどの政策の効果は明らかであり、経済全体と企業の生産意欲が持続的に回復しているが、国際大口商品価格の大幅な上昇は企業コストの上昇圧力を高めている。

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