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ニュース・フラッシュ

鉱種:
亜鉛
2021年7月9日 バンクーバー 佐藤すみれ

メキシコ:国内大型亜鉛プロジェクトの開発見通し

 2021年7月7日付け専門誌は、国内の亜鉛生産見通しについて、大規模生産が計画される一連のプロジェクト開発により、今後数年間で強化される可能性を報じた。現在国内には計55件の亜鉛プロジェクトが存在し、そのほとんどが副産物としての生産が見込まれている。そのうちCAPEXが公表されているのは計10件で、合計額は6,370mUS$にのぼる。以下は主要プロジェクト5件の動向概要である。
・Buenavista Zinc亜鉛・銅プロジェクト(米Southern Copper社、Sonora州)の見通し:ポジティブ
 CAPEXは413mUS$、生産量は亜鉛100千t/年のほか副産物として銅20千t/年が見込まれ、2023年生産開始に向け開発が進行中である。同社の2021年第1四半期レポートによると、基礎設計が完了し、実施設計は同期末時点で89%完了と発表された。
・San Nicolás多金属プロジェクト(Teck Resources社、Zacatecas州)の見通し:ポジティブ
 2021年第1四半期にPFSが完了し、銅価格を3.50/lbとした場合のIRRは34%と高い投資利益率が試算されている。CAPEX 814mUS$、生産量は銅65.8千t/年、亜鉛91千t/年、マインライフ15年と発表されている。Teck社は2021年内に環境許可申請およびFSの開始を計画しているほか、JVパートナーを募集する案を検討している。専門誌は環境許可取得が容易ではないと予測するものの、同社は2026年頃の生産開始を見込んでいる。
・Metates金・銀・亜鉛プロジェクト(加Chesapeake Gold社、Durango州)の見通し:不透明
 同プロジェクトは世界最大規模の金・銀未開発鉱床とされ、亜鉛埋蔵量は1.8百万tと発表されているものの、CAPEXは3,500mUS$と莫大であり、技術面でのコスト削減が課題となる。報道によると、予備的経済性評価(PEA)が近日中に発表されると見込まれるほか、2021年第3四半期半ばに冶金試験が開始される。
・Cordero多金属プロジェクト(加Discovery Silver社、Chihuahua州)の見通し:不透明
 世界最大規模の未開発銀鉱床とされ、年間生産量は銀248.9t(8百万oz)、亜鉛44.9千tと見込まれる。2018年に発表されたPEAでは銀価格を20US$/oz、亜鉛を1.30US$/lbとした場合のIRRは16.5%と発表されていたものの、Discovery Silver社は収益率改善のため開発規模縮小を検討しており、2021年第2四半期に新たにPEAを実施するとみられる。2018年のPEAでは1日あたりの鉱石処理量を40千tとされていたものの、新たな計画では初期に10~15千t/日、投資回収後に20~30千tに拡大する案が報じられた。
・Pitarrilla銀プロジェクト(加SSR Mining、Durango州)の見通し:不透明
 2011年の金属価格下落の影響を受けた国内プロジェクトのうち最大規模の1つとされる。SSR社は2020年第4四半期に5mUS$を投じ探鉱を再始動したものの、COVID-19の影響により作業に遅れが生じていると報じられた。以前の保有企業であるSilver Standard社が2012年に発表したテクニカルレポートによると、CAPEX 741US$、生産量は銀314.2t/年(10.1百万oz/年)、亜鉛22.9千t/年、鉛8千t/年、マインライフ30年とされている。専門誌は、資金確保のためには多くの作業が必要とされることから、開発見通しは不透明との見解を示した。

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