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ニュース・フラッシュ

鉱種:
カリウム 鉄鉱石 アルミニウム/ボーキサイト レアアース/希土類 リン レアメタル
2021年8月3日 モスクワ 秋月悠也

ロシア:レアアースに対する鉱物採取税の引き下げ案を検討

 2021年7月28日付けの地元報道等によると、産業商務省は、2020年に導入された鉱物採取税引き上げの適用からレアアース生産プロジェクトを除外したい考えである。同省は、こうしたシナリオを財務省と協議する一方で、レアアース生産の主要プロジェクトで投資保護促進協定(IPPA)を締結するという別のシナリオも検討している。後者の場合、IPPAによりプロジェクトに鉱物採取税の旧レートを適用することが可能となる。
 政府は、2020年に金属鉱石の採取税が3.5倍になったことを受け、レアアース産業に対する鉱物採取税の更なる調整を検討している。Alexei Besprozvannykh産業商務省次官は、レアアース産業全体を例外とするか、2030年までのレアアース開発ロードマップに盛り込まれたプロジェクト毎に個別に対応するかの2つのアプローチがあるとし、「個別に対応する場合は、各企業との間でIPPAを個別に締結し、これにより鉱物採取税の乗率を3.5ではなく1に引き下げる。」と述べた。IPPAの新規プロジェクトでは、財務省との合意により、鉱物採取税の旧レート適用が可能となるためである。
 レアアース分野のプロジェクト支援は、Rosatom社が主要実施者である上記ロードマップの一環として行われる。ロードマップの主な課題は、高付加価値レアアースの生産能力強化である。
 Besprozvannykh次官は、「輸入依存度をレアメタルは50%、レアアースは20%まで下げることが重要な課題である。2030年にはレアメタルとレアアースの輸入依存を完全に脱却する予定である。」と述べた。
 鉱物採取税引き上げは2021年1月1日から実施された。カリ塩、燐灰石・霞石鉱石、燐灰石、リン鉱石、鉄・レアメタル鉱石、ボーキサイト、非鉄金属鉱石に対する鉱物採取税率は3.5倍に引き上げられ、年間56bRUB(ロシア・ルーブル)の税収を見込んでいた。
 この乗率引き上げの適用については既に幾つかの例外が定められている。特に、IPPAプロジェクトの場合、15年間、乗率は1となる(つまり実質的に引き上げなし)。また、レアアースに関しては、ムルマンスク州の鉱床に対する乗率を1に引き下げるという決定が2021年6月に行われた。これらは、PhosAgro社(Khibinskie鉱床)とAcron社(Oleniy Ruchey鉱山)のリン酸塩鉱床で開発されている。

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