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- 鉱種:
- アルミニウム/ボーキサイト
中国:国内鉱石の供給逼迫、鉱石輸入価格上昇により、ボーキサイト鉱石が高騰
2021年8月25日付け現地紙によると、現在、船賃のほか国内輸送費も上昇していることから、輸入鉱石を含むボーキサイト鉱石の価格が高騰している。
2021年6月に山西省の代県鉄鉱石鉱山で浸水事故が発生した後、山西省にある全ての非石炭関連の坑内掘り鉱山が操業停止し、現在まで再開していない。一部の露天掘り鉱山も環境保全のため操業を停止して再開が進んでいないため、元より逼迫気味であったボーキサイトの供給が更に逼迫、企業は輸入鉱石の利用に頼らざるを得なくなった。山西省政府は、坑内掘りの鉱山企業に対し業務改善の徹底を指導しており、現時点までに全面的な操業再開時期を明示していない。
河南省においても状況はほぼ同様で、これまで安全・環境問題を理由に操業停止していた鉱山では未だ操業が再開できておらず、更に豪雨が操業再開の時期を一層遅らせた。2021年8月下旬、河南省では再び大雨となり、鉱石採掘や供給に影響が出ている。河南地域のアルミナ生産は安定しておらず、コストは拡大傾向にあると予想されている。
長期的に見ると、雨季の終わりまで生産再開を遅らせる可能性はあるものの、業務改善後の鉱山は採掘を安定的に継続する可能性が高まる。山西省や河南省の一部のアルミナ工場では輸入鉱石利用が増えたが、利益またはコスト削減面からではなく、やむを得ない措置である。時間はかかるが、国内鉱山の操業が再開すれば、鉱山企業は輸入鉱石に依存した現在の構造は見直されるであろう。
また、ボーキサイト生産国であるギニア、豪州及びインドネシアからの海上輸送費も高騰している。ギニアは、雨季に鉱石採掘、道路輸送及び港での積み卸しに一定の制限を加える上、雨季は鉱石中の水分含有量が多いため、海上輸送費のコストが更に上昇している。また、国内外で新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染が再拡大しており、多くの国の港で新たな水際措置を講じたため、港の稼働率も低下している。これにより、輸入業者は先物見積価格を上方修正した。しかし新規長期契約の価格決定の時期ではないため、市場も様子見の状態である。2021年第3四半期は貨物需要が好調なため、ばら積み貨物船による海上輸送費が更に高騰する可能性がある。
今後のボーキサイト鉱石の供給について、国産鉱石の供給逼迫は直ぐには解消しづらく、輸入鉱石の供給もやや余裕のない状態になりそうな上、コロナ感染や大雨等の不可抗力により一時的な問題が発生する可能性もあるが、大半の企業は長期契約を持っており、ファンダメンタルズ面の供給は確保できる。今後、輸入鉱石の先物価格は、海上輸送費の変動や中国国内アルミナの価格動向に左右されそうである。
