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鉱種:
その他 ニッケル
2021年9月28日 ジャカルタ 白鳥智裕

インドネシア:EVバッテリー製造と課題

 2021年9月22日付け現地メディアによると、インドネシアは、東南アジアにおける自動車用電池および電気自動車(EV)製造のハブとなるための大きな一歩を踏み出した。EVバッテリーの製造は、ニッケル鉱石の上流・下流産業の発展に大きく貢献することになる。鉱石の輸出を段階的に廃止した2019年鉱業法の施行の一環として、中国を中心とした投資家がニッケル製錬所の建設を急いでいる。
 エネルギー鉱物資源省によると、中央Sulawesi州Morowaliにある3つの製錬所がニッケル銑鉄やステンレススラブを生産・輸出しているほか、Kalimantan州、中央Sulawesi州、南Sulawesi州、東南Sulawesi州、北Maluku州Halmahera島などで30以上の製錬所が建設中である。
 政府は、電気自動車(EV)の製造が加速し、太陽光発電を強力に推進することで、インドネシアが大量に輸入している石油を大幅に削減し、二酸化炭素の排出量を削減できると期待する。
 問題は、すでに稼働しているニッケル製錬所や建設中のニッケル製錬所のほとんどが、石炭火力発電を前提に設計されていることである。例えば、Morowaliの石炭火力発電は、3つの製錬所を支えるために3,000MW近くまで拡張しなければならなかった。
 再生可能エネルギーによる発電ができないことは、上流・下流の鉱業を発展させる上で大きな問題である。通常、製錬所の総投資額のうち、発電量は30~35%を占める。水力発電や地熱発電などの再生可能エネルギーが、ニッケル鉱山の近くで利用できるとは限らないというジレンマがある。
 しかし、政府はこのエネルギー問題を安易に回避して、豊富にある石炭を使い続けることはできない。なぜならば、インドネシアのEVバッテリーやEVの製造のほとんどが、化石燃料で賄われているようでは、国際市場では受け入れられないからだ。ニッケル製錬やEVバッテリーの生産に化石燃料が使われていては、二酸化炭素排出量削減のためのEV推進は効果がないのである。

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