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ニュース・フラッシュ

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2021年9月30日 北京 塚田裕之

中国:国家糧食・物資備蓄局、銅の第4回目の国家備蓄放出を公告

 2021年9月27日、国家糧食・物資備蓄局は、国慶節後の2021年10月9日、銅の第4回目となる国家備蓄放出を実施する旨公告した。放出予定量は30,009tで、内訳は輸入銅が83%、国産銅が17%である。輸入国の内訳は以下のとおり。

表1.放出銅の生産国/企業一覧表
生産企業/生産国 放出量(t) 占有率(%)
ベルギー等 3,496.411 11.7
ポーランド等 2,329.6772 7.8
ドイツ等 1,854.988 6.2
フィリピン等 7.893 0
カナダ、チリ等 35.562 0.1
輸入 0.388 0
昆明冶金等 0.0916 0
米国等 3,379.436 11.3
日本等 4.766 0
スウェーデン等 3,944.167 13.1
イギリス等 4,483.098 14.9
雲南製錬所等 30.128 0.1
雲南冶金、イギリス等 9.852 0
雲南冶金等 3,236.316 10.8
チリ、ブラジル等 843.166 2.8
チリ等 4,319.896 14.4
重慶製錬集団等 2,034.0939 6.8
合計 30,009.9297 100.0
出典:国家糧食・物資備蓄局

 これまで過去3回の備蓄放出時と同様、ほぼ銅消費エリアまたはそれに近い計18か所の備蓄倉庫(上海13.1%、貴州11.2%、浙江7.7%、河南7.4%)で入札が行われる。
 石炭供給が不足し、電力供給が逼迫しているため、江蘇省、広東省、雲南省等で電力規制されたのに続き、2021年9月から、山東省、安徽省、江西省等においても電力規制を実施し始めた。これが製錬企業だけでなく、川下メーカーの銅消費にも影響を与えており、2021年9月末までの製錬企業の減産分は36.5千tとなる予想である。更に、2021年9月の電解銅輸入量も減少の予想で、電解銅在庫は国慶節直前に86.2千tまでに下落、過去5年間で最低値を更新した。
 一部の省は電力規制を2021年9月末で終了すると表明しているが、冬期に暖房の電力需要が増加するため、2021年第4四半期まで続く可能性もある。これにより電解銅市場の供給不足がより深刻化し、国慶節後のスポット市場の在庫が逼迫しスポット調達ができなくなる可能性がある。
 通常、スポット在庫は国慶節前に減らし、国慶節後に積み増すもので、50~52.5千t程度あるが、2021年は電力規制が深刻なため、2021年国慶節後の在庫量は30~35千tとみられている。今回の放出量は2021年9月の製錬企業の電力規制による減産分をほぼ相殺し、国慶節後のスポット在庫量は60~65千tとなる予想である。今回の備蓄放出によって、電力規制及び原料不足による電解銅供給の逼迫傾向が緩和されるとみられている。

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