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ニュース・フラッシュ

鉱種:
アルミニウム/ボーキサイト コバルト ニッケル リチウム
2021年10月27日 ジャカルタ 白鳥智裕

インドネシア:初のEVバッテリーリサイクル工場、まもなく操業開始

 2021年10月22日付け現地メディアによると、中央Sulawesi州にあるPT Indonesia Puqing Recyling Technology(IPRT)が所有する国内初の電気自動車(EV)用バッテリーリサイクルプラントが2021年中に商業運転を開始する見込みである。PT IMIP CEOのAlexandur Barus氏によれば、Morowali工業団地(IMIP)に設置されたこのリサイクル工場は、年間20千tの使用済みリチウム電池の投入能力を有している。
 PT IPRTは、BRUNP Recycling Technology社(广东邦普循环科技有限公司、70%)、GEM社(15%)、PT IMIP(15%)からなるコンソーシアムである。BRUNP社は、インドネシアでEV用電池工場の開発を計画している中国CATL社の子会社であり、また、GEM社は、EV用電池の材料を供給する中国企業である。
 2021年1月のインドネシア政府のプレゼンテーションによると、推定7mUS$のバッテリーリサイクルプラントは、年間20千tの使用済みバッテリーを原料として投入し、年間12千tのニッケル・コバルト、1.2千tの粗リチウム、3.4千tの銅、1.4千tのアルミニウム、2千tのバッテリーパック用金属、1.6千tの鉄鋼、1千tのプラスチックを生産する予定である。
 また、Alexandur氏によれば、現在IMIPには44の生産ラインから成る11の製錬所があり、年間のステンレス鋼生産能力は3百万t、冷延鋼生産能力は3百万t、熱延鋼生産能力は500千tである。
 また、EV用バッテリーの中間材料を生産する4つのHPAL製錬所が現在建設中であり、そのうちの1つはPT Huayue Nickel Cobaltが所有しており、2021年末に生産を開始する予定で、年間70千tの生産能力を有する。他の3つのHPAL製錬所プロジェクトは、PT QMB New Energy Material(高純度ニッケル・コバルト化合物年間生産量:ニッケル純分50千t、コバルト純分4千t)、PT Fajar Metal Industry(硫酸ニッケル60千t/年)、PT Teluk Metal Industry(硫酸ニッケル60千t/年)が所有している。HPALの4つの製錬所プロジェクトの総投資額は3bUS$である。他にも、IMIPは2022年の操業開始を目指して第2の海港を開発し、1,650mの滑走路を持つ空港も運営している。
 また、この工業団地では、150MWの太陽光発電所も開発される予定。このプロジェクトは現在、実現可能な段階にある。
 現在、IMIPでは2,460MWの石炭火力発電所が稼働しており、さらに2021年末の稼働を目指して700MWの石炭火力発電所が建設中で、これにより石炭火力発電所の総容量は3,160MWとなる。現在、同発電所の石炭消費量は年間9百万t、GARは4,200kcal/kgとなっている。
 IMIPの製錬所によるニッケル鉱石の消費量は年間約2.7~3千tで、ニッケル品位は1.8%である。
 PT IMIPは、中国のShanghai Decent Investment Groupとインドネシアのニッケル鉱山会社Bintangdelapan Groupが共同で所有している。

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