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2021年11月1日 ジャカルタ 白鳥智裕

フィリピン:Duterte政権、露天掘りの解禁への動き

 2021年10月27日付け現地メディアによると、Duterte政権は、露天掘りの禁止を維持するという現在の規制を覆す構えである。現地メディアは、故Regina Paz Lopez前環境長官が2017年に実施した露天掘り鉱山の禁止(DAO 2017-10)を廃止することを求める環境天然資源省(DENR)の行政命令(DAO)の草案を入手した。DAO草案は「DENR DAO 2017-10による国内の銅、金、銀、複合鉱の露天掘り法の禁止を解除し、地表採掘法のパラメータと基準を追加で強化することを規定する。」と題されている。
 DAO 2017-10によれば、露天掘り鉱山は「(政府にとって)永久的な負債となっており、特に酸性または重金属を含んだ水の発生、鉱山廃棄物ダンプの侵食、尾鉱ダムの地質災害に対する脆弱性により、環境に悪影響を及ぼしている。」とし、「国内の鉱山災害のほとんどが、露天掘りに伴う鉱滓流出によるものであることを証明している。」としている。
 しかし、Roy Cimatu環境長官の署名待ちのDAO草案では、DENRは露天掘りの禁止を続けることは「経済的機会の損失につながる可能性がある。」としたうえで、「露天掘りは世界的に認められた採掘方法であり、地表近くまたは浅い鉱床を採掘するための最も実行可能な選択肢であると考えられている。」、あるいは「鉱業を活性化により、他の産業の建設や開発のために原材料を提供することで国に大きな経済的利益をもたらす。また、鉱業活動が行われている農村部での雇用機会を増やして農村部の開発を促進につながる。」として、露天掘りの重要性について言及されている。さらには、「露天掘りの悪影響を回避・管理するための最良の管理戦略と技術がある。」としている。
 Green Thumb連合の呼びかけ人であり、Alyansa Tigil Mina(ATM)の全国コーディネーターであるJaybee Garganera氏は、「環境グループは、露天掘りを解禁しようとするDENRのこの動きを拒否する。」と述べた。また同氏は、「Cimatu DENR長官はこのDAOに署名してはいけない。特に来るべきCOP26気候サミットを考えるとなおさらである。このような政策の動きは、森林破壊を防ぎ、残された重要な生物多様性地域を保護することを根底から覆すものである。」とし、「我々はまた、Duterte大統領に対し、Cimatu DENR長官が露天掘りの禁止を解除するいかなる行政命令にも署名しないよう、明確に指示することを要求する。」と述べた。
 加えて同氏は、「Duterte大統領がこのような動きに沈黙を守り、あるいは支持したとしても驚くことはない。」とした。理由については、「中国の巨大な鉱物需要は、COVID-19パンデミック下であっても積極的に鉱業を推進する、というこの政策の方向性を後押ししていることが容易に理解できるからである。」との見解を示している。
 他方で、フィリピン最大の鉱山会社の組織であるフィリピン鉱業会議所(COMP)は、最新のDENR DAOが署名されるまでコメントすることを拒否している。
 2021年8月にDENRは、環境保護団体の反対の中、全国的な露天掘りの禁止を維持することを選択した。これは、DENRが、新規鉱山プロジェクトの禁止を解除した大統領令130号の実施規則(IRR)に露天掘り禁止を解除する条項を挿入しようとしたためである。DENRの有力な情報筋によると、IRRのこのような条項を削除するように直接命令したのはCimatu DENR長官だったという。
 上記の背景から、DENRの「Implementing Rules and Regulations of Executive Order(EO) No.130」(IRR)(DAO 2021-25)に基づいて、DENRはDAO No.2017-10や露天掘りの禁止を全面的に解除する規定を削除することを決定している。

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